統計解説

2020年1月の鉱工業生産 前月比上昇もいまだ低水準

基調判断は「一進一退ながら弱含み」

 
 本年1月の鉱工業生産は、季節調整済指数99.6、前月比0.8%と、2か月連続の前月比上昇となった。先月時点での企業の生産計画の上方バイアスを補正した試算値(最頻値で前月比0.5%)を若干上回る上昇幅となった。
 生産は、昨年10月、11月と2か月連続で大きく低下していたが、そこからの2か月連続での上昇となった。ただ、生産水準はいまだ低い状態にとどまり、1月の指数値99.6は、昨年10月に生産が大きく低下する前と比べると、2016年7月の指数値99.8より低い水準となっている。10月、11月の大幅低下の後の上昇としては、戻りはまだ弱く感じられる。

15業種中8業種が前月比上昇

 1月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、8業種が前月比上昇、7業種が前月比低下という結果だった。
 1月の上昇業種については、2か月連続の前月比上昇となった化学工業(無機・有機化学工業・医薬品を除く)を除けば、いずれも昨年12月に前月比で低下していた業種が戻した形である。生産上昇の勢いが感じられる業種はほとんどない。
 1月は、昨年第4四半期に大幅に低下した自動車工業の上昇寄与が特に大きかった。次いで、輸送機械工業(自動車工業を除く)、その他工業などが上昇寄与業種として挙げられる。

 上昇寄与の最も大きかった自動車工業は、前月比5.5%の上昇で、2か月ぶりの上昇となった。自動車工業は昨年第3四半期、第4四半期と連続で大きく低下していたが、1月は、これまでの減産の反動もあり、一部戻した形だ。普通乗用車、小型乗用車などが上昇要因となっている。
 上昇寄与2位の輸送機械工業(自動車工業を除く)は、前月比16.6%の上昇で、2か月ぶりの大幅な上昇だった。航空機用発動機部品、鉄道車両などが上昇要因となっている。
 上昇寄与3位のその他工業は、前月比2.5%の上昇で、4か月ぶりの上昇だった。平版印刷(オフセット印刷)、工業用ゴム製品などが上昇要因となっている。

出荷は前月比0.2%と小幅な上昇

 1月の鉱工業出荷は、指数値96.9、前月比0.2%の上昇となった。水準としては、依然、今基準内での最低水準に近い水準にとどまっている。生産の上昇幅と比べると、出荷は低い水準のまま微増にとどまっており、弱さが感じられる状況が続いている。

 業種別にみると、全体15業種のうち、7業種が前月比上昇、8業種が前月比低下だった。
 1月は、自動車工業、プラスチック製品工業、化学工業(無機・有機化学工業・医薬品を除く)などが上昇しており、特に自動車工業の上昇寄与が大きかった。
 財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比0.5%の上昇、最終需要財の出荷は前月比マイナス0.4%の低下だった。
 1月の出荷上昇に対する寄与、影響度が最も大きかったのは消費財だった。耐久消費財の出荷は前月比8.1%の上昇で、2か月ぶりの上昇となった。非耐久消費財の出荷は前月比2.9%の上昇となり、2か月ぶりの上昇となった。消費財全体では出荷は前月比3.0%の上昇で、2か月ぶりの上昇となっている。
 一方、資本財(輸送機械を除く)の出荷は、前月比マイナス5.1%の低下と、2か月ぶりの低下だった。12月は12.7%と大幅に上昇しており、その反動もあっての低下と考えられる。
 また、建設財は、前月比マイナス1.6%の低下となり、2か月ぶりの低下となった。

在庫は今基準内最高水準を更新

 1月の鉱工業在庫は、指数値105.8、前月比1.5%と、2か月連続の上昇となった。業種別にみると、15業種中、10業種が上昇、5業種が低下した。上昇寄与が大きかった業種としては、自動車工業、生産用機械工業、石油・石炭製品工業などが挙げられる。
 在庫については、2019年前半まで上昇が続き、6月に今基準内の最高水準を更新した後、徐々に低下がみられていたが、12月、1月と上昇が続き、再び今基準内の最高水準を更新した。

先行き、再び低下も

 本年1月の鉱工業生産は、2か月連続の前月比上昇となった。ただ、12月、1月の上昇は、10月、11月と生産が大幅に低下したところからの戻りの要素が大きく、生産水準は依然低い状況にある。業種ごとの動向をみても、1月は前月の上昇業種のほとんどが低下する中、これまで大幅に低下していた自動車工業の戻りが主に生産の上昇をけん引した形で、生産の上昇に勢いは感じられない。
 出荷の伸びは依然弱く、在庫も最高水準を更新していることからも、生産の動向に勢いはなかなか感じにくい状況である。
 一方、先行きに関しては、企業の生産計画では2月は大幅な上昇、3月はそれを上回る大幅な低下となっている。この計画は、2月上旬に実施した調査結果の集計であることから、新型コロナウイルス感染症の影響は十分には織り込まれておらず、不確実性が多分にあるが、2月は生産が上昇したとしても、3月にはその上昇分を上回る低下が見込まれている。
 このように生産は足元では上昇が続いているが、生産水準はいまだ低く、先行きは再び低下も見込まれている。こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の1月の基調判断は、「生産は一進一退ながら弱含み」とし、2月以降の先行きについても、注意深くみていきたい。

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