統計解説

「産業使用者向け卸売業」 回復の裏に電気機械器具の取引活発化

テレビ、パソコンから発電機まで

 
 経済解析室では、第3次産業活動指数を身近なものとして使っていただけるよう、第3次産業に属する個々のサービスを、特徴に応じてグループ分けした系列を作成している。ここでは、卸売業が商品を主にどこに卸すかでグループ化した二項対立型の再編集型系列「産業使用者向け卸売業」と「小売業向け卸売業」を紹介する。

多様な業態、卸先で分析すると

 卸売業とは、小売業や他の卸売業に商品を販売する業務を主に行っている事業所のことを指すが、その業態は多岐にわたる。建設業、製造業等の産業使用者に製品を大口販売するもの、事務用機械、産業用機械(農業用器具を除く)、建設材料など主に業務用に使用される製品を販売するもの、製造業の会社の販売事務所、製造問屋(自らは製造を行わないで、所有する原材料を下請工場に支給して製品を作らせ自己の名称で卸売するもの)、貿易商、農産物集荷業者なども卸売業に含まれる。
 卸売業を詳しく見るには業種別に見るという切り口があるが、もう一つ、皆さんにより身近な「小売業向け卸売業」と、おそらく日常あまり意識することがないかと思われる「産業使用者向け卸売業」に分けてそれぞれの活動指数の推移を見てみよう。

 グラフは2010年以降の指数の推移だが、小売業向け、産業使用者向けともに2014年頃まで活動量は低下傾向にあったことがわかる。小売業向けはその後ゆるやかに上昇し、2019年第3四半期の水準は2010年当時の水準を超えているが、産業使用者向けは未だ2010年当時よりも低い水準のままである。ただ、そんな産業使用者向け卸売業にも潮目の変化が見られ、2018年第3四半期に比較的大きな下落があった後は上昇傾向に転じている。

価格は低下も数量上昇

 産業使用者向け卸売業の指数の前年比を内訳で寄与度分解したのが上のグラフである。2018年第4四半期からの回復傾向を牽引しているのは、電気機械器具卸売業のようだ。

 上のグラフは、電気機械器具卸売業の販売額の前年比の変動要因を価格要因と数量要因に分解したもの。これによると、2018年から価格は低下しているものの数量によって上昇していることがわかる。

家庭向けから業務用まで

 電気機械器具卸売業とはどのような産業なのか、取り扱っている商品や流通経路から、もう少し実態をのぞいてみよう。私たちに身近な商品や流通経路から家電メーカーが販売店に卸して私たちが小売店で買うというイメージを思い浮かべる方もいるかもしれないが、経済産業省が行った、平成26年商業統計調査の卸売業に関する流通経路別データの年間商品販売額から、電気機械器具卸売業の主な取扱品が家庭用かそれ以外かに分けてみると、家庭用電気機械器具卸売業の割合は25%程度にすぎず、残りの75%がそれ以外となっている。
 家庭用電気機械器具とは、テレビ、エアコン、冷蔵庫、掃除機といったおなじみの商品だが、家庭用以外の電気機械器具には幅広い製品が含まれます。例えば、発電機、変圧器、電気炉、電子部品、電子計算機といったいかにも業務用のものや、家庭でも職場でも使用するようなパソコン、パソコンソフト、プリンタ、携帯電話機といった製品もこちらに分類されている。

 次に同じく平成26年商業統計調査の卸売業に関する流通経路別データの年間商品販売額から、電気機械器具卸売業の卸先を見てみると、最終消費者に向けたものが約6割、うち4割近く(37%)が産業使用者向けを占め、小売業者向け(19%)と一般消費者向け(1%)を合わせた数字の倍近くになっている。これが、電気機械器具卸売業が二項対立型の再編集系列で「産業使用者向け」に分類されている理由である。次に大きい卸先である同業者向けの販売分(27%)を、最終的に消費するのが産業か個人かは分からないものの家電以外の電気機械器具が含む製品の幅の広さから想像すると、産業使用者の存在感の大きさがうかがえる。
 こうした電気機械器具卸売業の上昇が、最近の産業使用者向け卸売業指数の主な回復要因となっている。電気機械器具卸売業の最近の上昇要因については、その扱う品目が多種多様であるため一概には言い難いところだが、パソコンの取引や電気製品に使用される部品の取引が活発であったことも要因として考えられる。
 いずれにしても、ここ1年ほどの産業使用者向け卸売業指数の上昇は明るい話題である。それを牽引する電気機械器具卸売業がどのようなものか、少しイメージしやすくなったのではないだろうか。