地域未来

心電図電極に革新もたらすアイ・メデックス

ビッグデータ時代のキーデバイスに

生体電極の可能性はさまざまな分野に広がっている


 心電図などのモニタリング用に用いられる生体電極。アイ・メデックスは独自の開発力ときめ細かなサポート体制で国内唯一の専業メーカーとしての地歩を築いてきた。医療分野で蓄積してきたセンシング技術が、あらゆる機器がインターネットでつながるIoT(モノのインターネット)時代の到来に伴い、ビッグデータ(大量データ)を取得するキーデバイスとして、新たな地平を切り拓きつつある。

求められる高い技術

 心臓の収縮で生じる微弱な電力を測定し、波形として表示する心電計に不可欠な生体電極。その登場は1960年代にさかのぼるとされ、各社は技術開発を競い合ってきた。
製品構成こそシンプルだが、電磁波や静電気の影響を受けないことや身体の汗でもはがれない、水中でも計測できるなど、求められる技術要求水準は高い。
 こうした中、「使い捨て電極業界の長年の課題を解決する製品」として大きな注目を集めたのが、同社が2012年に初の自社ブランド商品として発売した「マイローデ」。アースを内蔵することで体外からの電磁波や静電気を除去し、センサー精度への影響を抑える技術を業界で初めて搭載した。放射線などのノイズが飛び交う宇宙空間で活躍した実績もある。

海外市場に進出

 高い技術力で地歩を固める同社だが、生体電極の国内市場規模はおよそ50億円とされる。さらなる成長を目指すには、海外市場に活路を求める戦略と、生体電極の用途開発がカギを握る。そこで海外進出の橋頭堡として2018年、フランス東部、アルザス地方の中心都市であるストラスブールに営業拠点を開設した。医療関係企業や製造業が集積する地であり、またドイツやスイスとも近いことから、さまざまな企業や研究機関との事業連携や同研究が期待できる。
 市田誠社長はIT業界を経てアイ・メディックスに転じた経歴の持ち主であるだけに、生体電極をビッグデータ時代のキーデバイスとして位置づける戦略を描いている。心拍数や脳波をビッグデータとして蓄積し、これをIoTや人工知能(AI)といった最新テクノロジーと融合させることで新たなビジネスの送出が見込まれるからだ。

市田誠社長


 実際、ビッグデータを取得するには生体電極を長期間装着する必要があるが、こうした将来ニーズを見据え、新たに開発したのは、数週間はがれず皮膚もかぶれない生体電極。生体電極を使用する場合、一般的に対応期間は24時間といわれるが、データをより長期間にわたり、安全・安心に取得するためには密着性を高めるとともに、皮膚がかぶれない透過性に優れた素材が必要であった。密着性と透過性、相反する課題をクリアした新素材を開発した。さらに1カ月にわたり連続装着が可能な商品や生体電極と計測装置を接続する防水タイプのコネクターも開発。水中でのデータ取得やワイヤレス化も可能になるという。

生産現場にも最新技術

 最新技術の活用は、技術開発にとどまらない。生産現場にも積極的に導入。生産性の向上はもとより、従業員の創造性発揮を促す経営を実践している。例えば生体電極を梱包(こんぽう)する箱に添付するラベルなどをAIを活用して自動的に確認するラインを構築。さらに人間が担っていた定型作業を自動化するソフト「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を推進している。
 「人間にしかできないクリエーティブな仕事を集中的に行える環境を整える」と語る市田誠社長。こうした姿勢がさらなる技術革新の原動力となり、医療機器開発の潮流を大きく変えることになるだろう。

【企業概要】
▽所在地=千葉市花見川区宇那谷町1504の6▽社長=市田誠氏▽創立=1992年▽売上高=10億円(2019年5月期)

心電図電極に革新もたらすアイ・メデックス

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