統計解説

2019年上期の小売業 販売額増加の裏に数量要因があった


 経済産業省の商業動態統計は、個人消費の動向を供給側から把握することができる経済指標である。この指標を用いると、業種別、業態別、商品別の小売動向を分析することができるため、個人消費に関して示唆に富んだ分析を行うことが可能だ。
 今回は、主な図表を紹介しつつ、2019年上期の小売業販売について振り返る。

 上は、商業販売額の概要図だ。今年前半の商業販売全体は、前年同期比マイナス1.4%減少の約228兆円だった。小売業は前年同期比0.7%増加と2年連続増加となった2018年の勢いが続いているが、他方、商業販売額の約7割を占める卸売業は前年同期比マイナス2.4%と減少に転じた。
 小売業について業態別に見ると、コンビニエンスストア、家電大型専門店、ドラッグストアでは前年上期より販売額が増加し、百貨店、スーパー、ホームセンターでは減少した。

自動車小売業、飲食料品小売業など増加

 上のグラフは、小売業販売額の伸び率に対する業種別寄与度である。上昇寄与が大きかったのは、自動車小売業、次いで飲食料品小売業だった。
 自動車小売業販売額の変動を数量要因と価格要因に分解すると、主に数量要因による増加だった。飲食料品小売業販売額は主に価格要因で上下に変動したものの、ならしてみれば、同じく数量要因による増加となった。
 その他、医薬品・化粧品小売業と織物・衣服・身の回り品小売業についても、数量要因による販売額増加がみられた。

事業所あたりの販売額でプラス幅拡大のコンビニ

 スライド資料では、百貨店、スーパー、コンビニエンスストアについて、事業所数と1事業所当たり販売額の要因分解のグラフを掲載しており、それぞれの業態の出店戦略をうかがいながら販売額の推移を見ることができる。
 下のグラフは、コンビニエンスストアの要因分解である。2015年以降、販売額の前年比プラス幅は縮小を続けていたが、2019年上期は1事業所当たりの販売額が増加したことで、前年同期比2.4%とプラス幅が拡大に転じた。

 他方で、総合スーパーは、2017、2018年と事業所数の増加により、事業所当たりの販売額の減少分を補ってきたが、今回は減少分を補いきれず、前年同期比マイナスに転じた。百貨店は店舗集約による効率化戦略を続けているが、事業所当たりの販売額増加で補いきれず、前年同期比マイナス幅を拡大させた。

勢い続くドラッグストア

 スライド資料では、専門量販店3業態(家電大型専門店、ドラッグストア、ホームセンター)の商品別の販売額寄与度分解も掲載している。下のグラフは、ドラッグストア販売額の商品別寄与度である。

 好調が続くドラッグストアは2018年の店舗数前年比4.8%に続いて、2019年上期も前年同期比5.1%増加とさらに出店攻勢を続けている。また、販売額も食品を筆頭に全品目で増加し、前年同期比5.0%と、ドラッグストアとして集計を開始した2014年以来、前年比5.0%以上という高い伸び率が続いている。
 スライド資料には、他にも今回紹介しきれなかった業種の要因分解や家電大型専門店やホームセンターについてもまとめている。ぜひご覧頂きたい。

【関連情報】

ミニ経済分析「2019年上期小売業販売を振り返る」(スライド資料)のページ

記事が気に入ったらいいねしてください! METI Journalの最新情報をお届けします!