統計解説

8月の鉱工業生産 2か月ぶりのマイナス

鉄鋼・非鉄金属工業など幅広い業種での低下響く

徐々に低下の様相

 本年8月の鉱工業生産は、季節調整済指数101.5、前月比マイナス1.2%と2か月ぶりの前月比低下となった。7月は前月比1.3%の上昇だったが、8月は再び低下となった。
 この8月の指数値101.5は、本年6月の指数値101.4以来の水準となる。鉱工業生産は、本年4月・5月と大型連休を挟んで大幅に上昇して以来、上昇と低下を繰り返す動きを続けているが、8月は本年で2番目に低い水準となり、このところの動きをならしてみると、指数の動きとしては徐々に低下している様子も感じられる。

12業種が前月比低下

 8月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が前月比低下、3業種が前月比上昇と、幅広い業種で低下がみられた。
 7月の上昇業種の多くが低下しており、7月の上昇の反動減という面もあるとみられるものの、強さを感じられる業種は多くない。
 8月の生産低下への寄与が大きかった業種は、鉄鋼・非鉄金属工業、生産用機械工業、自動車工業だった。

 低下寄与の最も大きかった鉄鋼・非鉄金属工業の前月比はマイナス4.7%の低下で、2か月ぶりの低下となっている。8月は台風や設備の定修などの影響もあり、生産が大幅に低下した。特殊鋼熱間圧延鋼材、粗鋼などが低下要因となっている。
 低下寄与2位の生産用機械工業の前月比はマイナス2.6%の低下で、2か月ぶりの低下となっている。フラットパネル・ディスプレイ製造装置、ショベル系掘削機械などが低下要因となっている。
低下寄与3位の自動車工業の前月比はマイナス1.1%の低下で、2か月ぶりの低下だった。自動車工業の生産減には、工場の稼働日減の影響もあったようである。普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品等が低下要因となっている。

出荷は前月比マイナス1.4%低下

 8月の鉱工業出荷は、指数値101.1、前月比マイナス1.4%と、2か月ぶりの前月比低下となった。

 業種別にみると、全体15業種のうち、11業種が前月比低下、3業種が前月比上昇、1業種が前月比横ばいとなっていた。輸送機械工業(自動車工業をを除く)、鉄鋼・非鉄金属工業、石油・石炭製品工業などが低下寄与業種となっている。
 財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、最終需要財の出荷は前月比マイナス0.6%低下、生産財の出荷は前月比マイナス2.3%低下だった。8月は、最終需要財より生産財の低下寄与の方が大きくなっていた。
 最終需要財の内訳の中で、8月の出荷低下に対する寄与、影響度が特に大きかったのは資本財だった。ただ、輸送機械の低下の影響が大きく、資本財(輸送機械を除く)については、前月比上昇となっていた。また、消費財については、耐久消費財の出荷は上昇、非耐久消費財の出荷は低下となっていた。

在庫は横ばい

 8月の鉱工業在庫は、指数値104.5、前月比0.0%と前月比横ばいとなった。業種別にみると、15業種中、8業種が上昇、7業種が低下だった。
 鉱工業在庫については、6月まで現行2015年基準での最高水準の更新が続いた後、7月に若干低下はしたものの、8月も依然、高水準の状況が続いている。この在庫水準の鉱工業生産への影響については、引き続き注意してみていく必要があるだろう。

基調判断は下方修正

 本年8月の鉱工業生産は、2か月ぶりの前月比低下だった。先月時点では企業の生産計画から、それに含まれる上方バイアスの例年の傾向も考慮すると、8月は最頻値でマイナス0.7%の低下と、低下もありうるものと想定していたが、8月の低下幅は前月比マイナス1.2%となり、やや大きめの低下となった。7月の上昇分をほぼ打ち消した形となり、指数値も101.5と、6月に次いで本年で2番目に低い水準となっている。
 先行きは、企業の生産計画では9月は上昇、10月は低下の計画となっている。企業の生産計画の例年の上方バイアスを考慮すると、9月は上昇も低下もありうる程度の計画と考えられる。ただ、仮に、9月の鉱工業生産が企業の計画どおりに上昇したとしても、第3四半期の水準は第2四半期の水準より低下が見込まれる。10月も現時点では確たることは言い難いものの、9月比で低下が見込まれる。
 このような動きを踏まえ、8月の鉱工業生産の基調判断については、「生産はこのところ弱含み」と下方修正しつつ、先行きを注視していきたい。

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参考図表集

マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」

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