統計解説

大型連休の影響いかに 2019年4月の全産業活動指数

半年ぶりの前月比プラスも復調には遠く

低下傾向には歯止めだが

 2019年4月の全産業活動指数は、前月比0.9%と6か月ぶりの上昇となった。先月までの5か月間は1月の横ばいを挟み4回の前月比低下と、このところ牛歩ペースながらも弱い動きが続いていたが、久方ぶりの前月比上昇だ。
 指数値は106.6と、先月割り込んだ106台の高い水準域に再び戻った。この指数値は、弱い動きが始まる直前の2018年10月と同値であり、今基準内のリーマンショック後の指数値としては最も高い水準にまで復帰、ここ5か月間の不調期の低落分を一気に取り戻したことになる。

 傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、10月の好調な動きにより上昇に転じ、11月には106台を突破する高水準域に到達も、2019年1月に高い活動域は維持しつつも再び低下方向に転じた。以降、低下方向への動きが続いていたが、この低落が一段落し、ほぼ横ばいにあることがみてとれる。
 この動きをみる限り、4月単月の動きは強いながらも、傾向値でみれば横ばいにとどまっているという点を持ってすれば、足踏みの状態からは脱したとは言い切れないだろう。

内訳3活動すべてが上昇

 4月の結果を産業別にみると、サービス産業活動は前月比0.8%と3か月ぶりの上昇、鉱工業生産は前月比0.6%、建設業活動は前月比1.2%と、ともに2か月ぶりの上昇だった。なお、内訳3活動すべてが前月比上昇というのは、2017年12月以来、おおむね1年半ぶりのことになる。
 4月の全産業活動の上昇に、最も大きく寄与したのはサービス産業活動だが、その上昇寄与は約7割とかなり大きなインパクトを占めている。
 なお、建設業活動は今年に入ってからの4か月間で、3回目の1%超となる前月比上昇で、下げ止まりの動きがみられていた3月時点の建設業活動よりさらなる改善ともいうべき点がみられた。

サービス産業を分析すると

 2019年4月は、内訳3活動すべてが久方ぶりに上昇、特にサービス産業活動の動きが全産業活動全体の上昇の動きに強いインパクトを与えた。
 他方、今年の4月下旬から5月上旬にかけては、わが国のカレンダー上では、例年を上回る大型連休があった。このうち4月は、この大型連休=10連休のうち、前半部分の4日間が設けられていた。
 では、4月の全産業活動の動きに最もインパクトが大きかったサービス産業活動の動き、特に対事業所向けサービスや対個人向けサービスに2分してみると、この大型連休の効果がどの程度あったのだろうか。先だって公表された「第3次産業活動指数」の当該再編集系列を用いてみてみよう。
 第3次産業活動指数で公表される各系列の季節調整済指数は、季節変動に加え、多くの場合、カレンダー上の曜日構成や日本の祝祭日による変動分が計量的に取り除かれている。例えば、今年のカレンダーでは、例年に比べ「国民の祝日」が1日多く設定されているが、この増分自体がもたらす増減効果は季節調整済指数から差し引かれている、ということになる。ただ、連休の長期化により、「供給する」あるいは「消費する」サービスの品質が変化する効果、前倒しの供給・消費、他のマインドの変化、など固有の事情までは除去できない。
 そこで、①当月4月における季節調整済指数を構成する不規則変動成分を算出し、これを祝祭日増加要因除去後も残った大型連休効果を含むスポット的増減分、②今年4月、5月の祝祭日変数を、今年本来の祝祭日変数を投入した場合(上記①)と、例年同様の祝祭日構成と仮定して祝祭日変数を投入した場合の季節調整済前月比を比較し、この差分を今年4月の祝祭日増加要因としての事前に除去された分(①の季節調整済指数値に含まれないもの)としてみることとする。なお、双方とも当月4月までを観測値として投入するため、今回試算する今年本来の祝祭日変数を投入した場合の計算結果でも、公表値とは異なる点にご留意いただきたい。
 結果は、次のとおりでした。まず、下記のグラフは、前記検証①の結果をトレンドと不規則変動分に分けてプロットしたものになる。
 サービス産業活動を対個人向けサービスと対事業所向けサービスに分けてみると、双方とも上昇傾向にあるなか、4月の不規則変動もともにプラス方向に出ている。よって、祝祭日要因として除去されずに残った大型連休の序盤における効果は、双方とも前月比上昇をもたらした、と考えられる。

 さらに、対個人向けサービスを、非選択的サービスとし好的サービスに2分割してみてみると、双方とも不規則変動がプラス方向にあることは同じだが、上昇トレンドの度合いが強い非選択的サービスの方が、4月の不規則変動が大きいことが分かる。

 次に、下記の表は、前記検証①と、検証②の結果をとりまとめたものとなる。下表中の検証値②は仮に2019年4月のカレンダー上の祝祭日構成が例年に準じたものとして計算した仮想前月比となり、下表(A)の増減分は、祝祭日効果(祝祭日が増加した効果)として除去されたものとなるため、検証結果①の4月の季節調整済前月比には含まれていない分となる。

 4月の個人向けサービス全体では、表中(A)の数値からみれば、祝祭日増加の影響分として仮定され事前除去された分は皆無だったが、検証①による結果:表中(B)をみると、プラス0.1指数ポイント程度の大型連休効果の影響が季節調整済指数に残った可能性がある、ということになった。
 内訳でみれば、非選択的サービスでは、祝祭日増加の影響分としてマイナス0.4%ポイントほど祝祭日要因として割り引かれていたが、プラス0.4指数ポイント程度の影響が季節調整済指数に残った可能性があり、他方、し好的個人サービスでは、祝祭日増加の影響分としてプラス0.3%ポイントほど祝祭日要因として割り引かれていたが、プラス0.2指数ポイント程度の影響が季節調整済指数に残った可能性がある、という結果になった。
 対事業所向けサービスでは、祝祭日増加の影響分としてマイナス0.3%ポイントほど祝祭日要因として割り引かれていたが、プラス0.2指数ポイント程度の影響が季節調整済指数に残った可能性がある、という結果になった。
 今回の検証を総括してみれば、対事業所サービスや非選択的個人サービスには、大型連休序盤となる4月の、祝祭日が増加する効果はマイナス効果をもたらすとしていたため、その分季節調整済値計算上の押し上げ効果があったが、し好的個人サービスには、プラス効果をもたらすとしていたため、その分季節調整済値計算上の押し下げ効果があったとみられる。
 結果、対個人サービス全体では、非選択的サービスとし好的サービス上の祝祭日が増加するにあたっての押し上げ効果と押し下げ効果が打ち消し合い、大型連休効果を含む不規則変動としての上乗せ分は軽微であったことからも、4月の前月比上昇には、このところの強めの上昇トレンドの強さに導かれた要素が強かったと仮定できる。一方、対事業所サービスは、季節調整済値計算上の押し上げ効果に加え、不規則変動としての上乗せ分も対個人サービス全体に比べ若干大きかったことなどが前月比上昇に導いた、といえるのかもしれない。
 なお、今回試みた以外にも様々な分析手法があるなか、本文の結論や影響度は、あくまで当該分析の結果であって、考え方の一つであることをご承知置きいただきたい。

基調判断据え置き

 2019年4月の内訳3活動は、サービス産業活動を筆頭に、鉱工業生産、建設業活動のいずれもが前月比上昇だった。
 各指数の基調判断は、サービス産業活動は「持ち直しの動きにあるが、一部に弱さがみられる」に据え置き、鉱工業生産は「一進一退」と、やや判断を上方修正している。一方、建設業活動は、今年に入ってから3回目の前月比1%を超える上昇幅で、先月3月には「下げ止まりの動き」にあったが、4月では更に「持ち直しの動き」に改善している。ただ、産業横断的にみてみると、3月に停滞していた製造業や卸売業、小売業などのモノ取引分野の活動は、復調には至っていないように思われる。
 全産業活動全体では、4月は6か月ぶりの前月比上昇で、指数値は低調に推移していた先月までの5か月分の低落分を一気に取り戻し、リーマンショック後としては最も高い水準域にまで復帰した。ただ、3か月移動平均で測る「すう勢」は、低下方向への動きに歯止めがかかったものの、ほぼ先月からの横ばい程度の状況下にある。
 これらを総合的に判断した結果、2019年4月時点の全産業活動は、「足踏みがみられる」に据え置かれている。

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