地域未来

事業の軌跡から災害対策まで 中小経営者大いに語る

地域未来牽引企業サミットin広島

地域未来牽引企業5社によるパネルディスカッション

 「この国の将来のために皆さんと力を合わせていきたい」-。経済産業省は5月25日、広島市内で「地域未来牽引企業サミットin広島」を開催した。「地域未来牽引企業」に選定された北海道から沖縄まで全国241社をはじめ500人を越える企業、自治体関係者らが出席。世耕弘成経済産業大臣はあいさつで、このように呼びかけた。

豪雨被害からの復興後押し

 同サミットは2018年以来、福島県会津若松市や熊本市、新潟市など全国各地で開催しており、今回で4回目。広島市での開催について世耕大臣は「甚大な被害もたらした平成30年7月豪雨からまもなく1年が経過しようとしている。復興を進めている地元の取り組みを後押しし、全国の企業トップの皆さんに発信したい」と述べた。
 地域未来牽引企業制度については「大規模の工場などを誘致する従来の手法だけでは、地域経済活性化はうまくいかない。それぞれの地域にある素晴らしい企業を中心に、地域から盛り上げて世界に攻めていく」との方針を示した上で、「経産省としても予算、税制、金融、規制緩和といろいろな政策手段を集中して支援を行っていく。皆さんを“えこひいき”したい」と、同制度を地域経済産業政策の柱に据えていることを強調した。

地域の企業への熱い想いを語る世耕経済産業大臣


 湯﨑英彦広島県知事、松井一実広島市長の祝辞に続き、東京大学大学院工学研究科の坂田一郎教授が「地域未来牽引企業の選定とサミットの意義 -知識集約化を先導する-」と題して基調講演を行った。

経営者としての軌跡を語り合う

 地域未来牽引企業によるパネルディスカッションには、マックス(大阪府八尾市)の大野範子社長、菱岡工業(和歌山市)の岡田亜紀社長、ジャパンキャビア(宮崎市)の坂元基雄社長、ナガセインテグレックス(岐阜県関市)の長瀬幸泰社長、マルニ木工(広島市佐伯区)の山中武社長の5人が登壇。ヤフーの小澤隆生常務執行役員がモデレーターを務めた。
 マックスの大野社長は、2009年の社長就任直後に自身の子宮がんが判明したエピソードに触れ、「抗がん剤の影響で肌がぼろぼろになった。元気になったら本当に肌に優しい製品を作りたいとの思いで復帰を果たし、2年の歳月をかけて製品開発に取り組んできた」と当時の心情を吐露した。菱岡工業の岡田社長は、創業社長の実父の急逝に伴い、幼稚園教諭から突然、経営のバトンを受け継いだ経緯を振り返り、ジャパンキャビアの坂元社長は、日本で唯一チョウザメの稚魚をかえすことに成功した宮崎県水産試験場の技術を元に、国産キャビアを商品化。販路開拓をめぐる苦労話を披露。ナガセインテグレックスの長瀬社長は「オイルショックを経て超高精度な研究開発型の工作機械メーカーへと転換を図ってきた」と堅実経営について語った。マルニ木工の山中武社長は、世界的なデザイナーと組んで商品化した椅子が米アップルの新本社に全面的に採用されるなど、世界28カ国で販売される主力商品となるまでの挑戦を振り返った。

自然災害にどう備える

 パネルディスカッション第2部は「中小企業強靱化対策」がテーマ。西日本大震災で被災したヒルタ工業(岡山県笠岡市)の晝田(ひるた)眞三会長と、トーヨープロト(広島市安佐北区)の茶木田由香社長の被災企業2社が登壇した。
 晝田会長は「BCP(事業継続計画)が、対策本部の立ち上げや被災状況確認、お客さまへの報告などに寄与した」としながらも、「土砂が流れ込む事態は想定していなかった」とさらなる対策の必要性を指摘。茶木田社長は、堤防が決壊し工場全体が1.3メートルの深さまで浸水した経緯に触れ、「被災直後に世耕大臣にお越しいただいた時、実は心の中で再開は厳しいと思っていた。地元の商工会や県、市、経済産業局など各位の支援を受けて再開にこぎ着けた」と振り返った。

熱心に聞き入る来場者


 その上で、「皆さんと日頃から顔の見えるおつきあいをしていたことが、被災時に本当に役に立った」とし、自治体や関係機関との日常的な緊密な連携の重要性をあらためて強調。不測の事態にどう備えるべきか-。会場を埋め尽くした聴衆はこうした経験談に熱心に耳を傾けていた。

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