統計解説

強さ戻らず 2019年3月の全産業活動指数

鉱工業生産やサービス産業の動き鈍く

ここ5か月は上昇みられず

 2019年3月の全産業活動指数は、前月比マイナス0.4%と、1月の横ばいを挟みここ5か月のうち4回目の前月比低下となり、このところの弱い動きには3月時点でも変化はみられず、動きの強さは戻らなかった。指数値は105.6と6か月ぶりに106台の高い水準域を割り込んだ。 2018年10月の106.6をピークにじわじわと牛歩ペースで低下してきている様相が持続している。
 好調だった2018年10月は前月比1.4%の上昇と極めて大きな伸びを示したのに対し、これ以降の低調な5か月間で合計マイナス1.0%ポイント、1か月あたりマイナス0.2%ポイント低下している計算になる。最近の動きは弱さを感じるが、低下方向の風は緩やかで、10月の大幅上昇分と比べればまだ貯金の範囲内、という側面が今月に至っても継続している。
 とはいえ、やはり「最近5か月間で横ばいを挟み4回目の前月比低下」という点をもってすれば、最近の動きには強さがなく、足踏みの状態にあるといえるだろう。

 傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、7月以降の低落傾向から10月の好調な動きにより上昇に転じ速いテンポで復調、11月には106台を突破する高水準域に到達したが、2019年1月に高い活動域は維持しつつも再び低下方向に転じた。以降、2月、3月と続落しており低下方向への動きが続いていることがみてとれる。
 なお、2019年第1四半期通期では、前期比マイナス0.5%と2期ぶりの低下だった。

建設業活動は上昇も

 3月の結果を産業別にみると、建設業活動は前月比0.3%と3か月連続の上昇だったが、サービス産業活動は前月比マイナス0.4%と2か月連続の低下、鉱工業生産は前月比マイナス0.6%と2か月ぶりの低下だった。3月の全産業活動の低下に、最も大きく寄与したのはサービス産業活動ですが、今年に入ってからの低落度という意味では、鉱工業生産の動きが全産業全体の活動水準を押し下げている。
 なお、建設業活動は昨年5月から昨年末にかけての8か月間は前月比微増1回、横ばい1回以外は前月比低下とほぼ一律な低落でしたが、今年に入ってからは3か月連続の上昇だった。低落傾向にあった建設業活動に下げ止まりの動きがみられる。

予測値以上に低下した事業は

 2019年3月は、サービス産業活動と鉱工業生産の低調な動きが全産業活動全体の動きを低下方向に導いた。
 では、視点を変えて3月の実際の動きが、思いのほか動きが不調だった事業は何だったのだろうか。これを、先月2月までの公表値から推定される3月の予測値と比べてどうだったのか、という検証によって確認してみよう。
 方法は、全産業活動指数の内訳3産業、及びサービス産業活動を細分した11業種(別途公表されている「第3次産業活動指数」の内訳大分類業種のデータを使用します)について、①先月2月公表値を足元とした過去の各原指数を元に、ARIMAによる予測機能により3月の予測値を算出する。モデルは季節指数作成のために用いている各業種の今基準指数で用いられているものを使用する。②この原指数の予測値から季節調整済前月比を計算し、③これと全産業活動指数及び第3次産業活動指数の3月実績(公表値)の前月比を比較する。
 結果は、次のとおりである。なお、鉱工業生産は全産業活動指数で公表している原指数を使用したため、「鉱工業生産・出荷・在庫・在庫率指数」、いわゆるIIPの時系列とは異なる点に注意いただきたい。(鉱工業生産については参考値としてご覧いただきたい。)また、建設業活動とサービス産業活動については、先月2月公表分の1月、2月の値は暫定値のため、3月公表時点の数値とは若干足元の前月比もリバイスされている場合もあり、これを割り引いて確認結果をみる必要があることにもご留意いただきたい。
 まずは、全産業活動指数の3産業についてみてみる。
 建設業活動は3月公表値の前月比(以下、「公表値」という)は0.3%の上昇だった。一方、2月時点の3月予測前月比(以下、「予測値」という)はマイナス0.4%の低下という推定結果だったので、その差分はプラス0.7%ポイントとなり、この点でみても建設業活動が下げ止まりの過程にあることが推測される。
 他方、鉱工業生産は、公表値マイナス0.6%の低下だったが、予測値はプラスであり、差分はマイナス1%ポイントを超えるなど、不調があらためて確認できる。サービス産業活動は、公表値マイナス0.4%の低下に対し、予測値は横ばいと、わずかではあるが伸び悩んでいることがみてとれる。

 次に、サービス産業活動の内訳となる11大分類業種の活動についてみてみる。3月のサービス産業活動の低下に大きく寄与した業種は、既公表の「第3次産業活動指数」によれば、情報通信業、卸売業、小売業だった。
 情報通信業は、公表値はマイナス2.3%の大幅低下だったが、予測値もこれに極めて近い低下予測となっている。過去の経験値からすれば、このマイナスは想定の範囲内であったことになる。なお、3月時点の傾向・循環変動成分(以下、「TC成分」という)を確認すると、上昇傾向が継続していた。
 卸売業は、公表値はマイナス1.3%の低下に対し、予測値はプラスで差分はマイナス1.6%ポイント、小売業は、公表値はマイナス1.1%の低下に対し、予測値は横ばいで差分はマイナス1.1%ポイントと、予測値とのかい離は大幅なマイナス方向であり、改めて不調であったことがみてとれる。このほか、物品賃貸業(自動車賃貸業を含む)が差分マイナス1%ポイント、電気・ガス・熱供給・水道業が差分マイナス0.7%ポイント、と低調だったこともわかる。これら4業種のTC成分を確認すると、いずれも低下傾向を示していた。
 また、生活娯楽関連サービスも思いのほか伸びなかったが、TC成分は上昇を続けており、トレンド自体は上昇傾向にあるようだ。

 総括してみれば、思いのほか動きが鈍かったのは、鉱工業生産、卸売業、小売業、物品賃貸業(自動車賃貸業を含む)、電気・ガス・熱供給・水道業であったことがわかった。
 この結果を業種横断的にみてみると、いわゆるモノ(有形物)やこれに準じた売買取引事業(リースなどを含む)、製造事業(エネルギーを含む)といった分野において、3月の動きは低調だった、ということがいえるのかもしれない。

基調には足踏みがみられる

 2019年3月の内訳3活動は、建設業活動は前月比上昇だったが、サービス産業活動と鉱工業生産は前月比低下だった。2019年第1四半期通期では、鉱工業生産が全産業活動全体の前期比を低下に導くほどの大きなインパクトであった。
 各指数の基調判断は、サービス産業活動は「持ち直しの動きにあるが、一部に弱さがみられる」、鉱工業生産は「このところ弱含み」と、ともに判断を下方修正している。一方、建設業活動は、今年に入ってから3か月連続の前月比上昇で、先月2月に長らく続いていた「弱含みの動き」からの歯止めとなる「底固めへの動き」がみられていたが、3月ではさらに下げ止まりの動きへと改善している。

 全産業活動全体では、3月は2か月連続の前月比低下で、かつ、1月の横ばいを挟みここ5か月で4回目のマイナスと動きに強さはみられない。この低下方向の風速は決して強いものではないが、このところの動きの停滞感は否めない。また、3か月移動平均で測る「すう勢」も、低下方向への動きが続いているが、動きは緩やかであり、指数水準でみればまだ高い水準域にある。
 よって、2019年3月の全産業活動は、「足踏みがみられる」としている。

※ 次回は「建設業活動指数」について紹介します。

【関連情報】
全産業活動指数結果概要

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