政策特集首脳会合だけじゃない「G20」

G20が映し出す世界の変化 問われる議長国の手腕

保護主義、デジタル覇権主義にどう挑む

サミットまでのカウントダウンボードの除幕式に参加した関係者ら(2019年3月)

 日本が初の議長国を務めるG20(主要20カ国・地域)会議。6月に大阪市で開かれる首脳会議(サミット)へ向け、一連の関連会合がまもなく本格化する。米中の貿易摩擦が激しさを増すなか、世界経済の安定成長へ各国がいかに足並みを揃えることができるかが最大の焦点だが、注目点はそれだけではない。グローバル化やデジタル化を背景に近年のG20は、エネルギー・環境や貿易・投資なども活発に議論されており、デジタル税制など各国の思惑が複雑に絡み合う課題への対処も迫られている。複雑化する世界を前に日本はどう議論を主導するのかー。G20の注目点を探る。

緊密な連携を確認

 2019年4月末、大型連休を前に欧州歴訪の最初の訪問国フランスに降り立った安倍晋三首相。マクロン大統領との会談でG20サミットへの協力を求めた。8月に開催される先進7カ国(G7)の議長国であるフランスと世界経済や地球規模での主要議題について「団結して対処していく力強いメッセージを打ち出したい」(安倍首相)と緊密に連携していく方針を確認した。
 「G7」と「G20」。異なるふたつの枠組みの発足経緯をあらためてひもとくことで、世界経済の構造変化がみえてくる。
 先進7カ国(日、米、英、仏、ドイツ、イタリア、カナダ)の首脳らが世界経済から国際情勢、開発、環境など国際社会の重要課題について議論する会議として1975年に始まったG7サミット。1997年のアジア通貨危機を境に国際金融システムの議論には、中国やロシア、インドなども加えた主要新興国の参加が必要との認識に基づき、1999年のG7財務大臣会合で、G20の枠組み創設で合意した。その後、リーマン・ショックをきっかけに、これを首脳級に格上げする形で、2008年にG20サミットが初開催された経緯がある。ちなみにG20の正式名称は「金融・世界経済に関する首脳会合」。世界のGDPの8割以上を占める「国際経済協調の第一フォーラム」として世界経済を力強く成長させる役割を担う。

政策協調を目指して

 発足当初は、金融危機を前に各国の問題意識は比較的共有されやすく、G20は財政や金融面での政策協調で結束してきた。近年は、グローバル化やデジタル化の進展を背景に、マクロ経済や貿易のみならず、開発やエネルギー・環境、デジタル経済といった新たな地球規模の課題にも議論のテーマが拡大し、議題が多様化している。保護主義やデジタル覇権主義の台頭といった貿易問題にとどまらない国際上の複数の課題解決に向け、G20の役割は一段と高まっているといえる。一方で各国の利害が交錯する課題が増えたという側面も指摘できる。

新たな成長軌道の端緒に

 日本で開催される一連のG20会議は、各国閣僚、そして首脳が一堂に会する貴重な場となる。こうした局面において期待されているのが議長国・日本の主導力だ。これまで世界経済の成長を支えてきた自由貿易主義の意義が問い直されていることはもとより、あらゆる情報が安全・安心に世界で利用されるためのルールの策定、例えば巨大IT企業への課税のあり方といった新たな課題も浮上している。エネルギー・環境の分野では環境と経済の好循環やエネルギー転換をどう実現するかといったテーマに向き合うこととなる。
 日本はこれら課題を前に各国の合意形成を目指し、G20が世界経済の新たな成長軌道を描く端緒となることが期待される。

※ METIジャーナル5月号では、企業活動にも直結するテーマについて議論の焦点を探ります。次回は、自由で公正なデジタル市場の創設をどう主導するかを世耕弘成経済産業大臣に聞きます。

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