METI Journal

経済産業省

勢い鈍化の訪日外国人消費指数

訪日客数は過去最高更新も1人当たり消費額は減少

    
    

 訪日外国人消費指数(TCI)とは、訪日外国人の消費金額を、消費者物価指数を用いて実質指数化し、訪日外国人の国内での費目別の旅行消費の動向を指標化したもの。
今回は、平成30年上期までのTCIの動向を紹介する。

3期ぶりの低下

 30年上期(1-6月期)の訪日外国人消費指数(平成22年平均=100)は、季調済指数値で370.1、前期比(対29年下期比)マイナス2.5%と3期ぶりの低下となった。
27、28年の比較的安定した推移から、29年には通年で急拡大をみせ、同年後半は前半に比べて高い水準となっていた訪日外国人消費指数だが、今年入って第1四半期、第2四半期と連続して指数値を下げた。水準的には、昨年平均をまだ上回っているが、ここにきて、上昇の勢いも一段落といった様相だ。

   
   

対個人サービスにマイナス寄与

 訪日外国人消費は今年前半の国内の対個人サービス産業にどれ位のインパクトをもたらしたのだろうか。
30年上期について、第3次産業活動指数の広義対個人サービス全体の前期比変動に対する訪日外国人消費の寄与をみると、対個人サービスの前期比横ばいに対し、マイナス0.03%ポイントと低下寄与だった。個人サービスにプラスの影響を与えることが多い訪日外国人消費だが、当期はマイナスの寄与となった。
 今年は、第1、第2四半期ともに、訪日外国人消費は前期比マイナスで、今年上期の対個人サービスは、4-6月期の国内居住者等のサービス消費に支えられ、かろうじて昨年後半のレベルを維持したという形になる。

   
   

飲食費の上昇際立つ

 費目別の動向をみてみると、30年上期は、飲食費と娯楽サービス費(ともに季調済指数)が前期比上昇となった。飲食費は、23年上期に前期比低下となって以降、当期まで14期連続で上昇を続けている。当期低下した費目が多いなか、飲食費の一貫した上昇の勢いは健在だ。また、娯楽サービス費も、28年下期以降は安定した上昇を続けている。

   
   

 30年上期の訪日外国人消費全体は、昨年後半に比べて低下をみせるも、費目別には飲食費の上昇が際立つ結果となった。
 30年上期に日本を訪れた外国人の数は約1,590万人、前年同期比(対29年上期比)プラス15.6%と、当期も過去最高を更新した。訪日外国人旅行消費額としては、2.2兆円となった。
 しかし、訪日外国人1人当たり旅行支出額※は前年同期比マイナス5.4%の低下だった。この1人当たり消費額の低下が、訪日外国人消費指数の低下につながっている。この1人当たり消費額の低下には、為替が昨年後半の112円台から、今年に入って、一時期は106円台に至る円高傾向の推移になっていたことが影響している部分もあると考えられる(参考記事:「中国とアメリカの「訪日外客数」及び「1人当たり旅行消費額」比較」)。

 ※:半期の1人当たり旅行支出額は、該当する四半期の旅行消費額と旅行者数を用いて算出した試算値。

 他方、今年7月、8月は110~111円台に為替が円安方向に変わっており、1人当たり消費額への好影響が期待される。また、例年にないほどの猛暑と豪雨にみまわれた今年の夏期前半だが、プラス要因とマイナス要因が交錯して、今年下期の訪日外国人消費が、対個人サービスの動きをどれ位支えてくれるのか、要注目だ。
 なお、下記のスライド資料には、費目別の寄与度など、より詳細な情報を掲載している。ご覧いただきたい。

関連情報

ミニ経済分析「2018年上期の訪日外国人消費指数の動き」のページ

昨年後半の勢いから、一服感をみせる30年上期の訪日外国人消費指数。訪日客数は過去最高を更新したが、1人当たり消費額が低下

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