地域未来

【地域未来牽引企業】「三方」ならぬ「五方良し」を実践

バタフライバルブ製造のオーケーエム

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オーケーエムはバタフライバルブを中心に、ナイフゲートバルブやピンチバルブなどバルブ専門メーカーとして業界の先端を走る製品開発で存在感を示してきた。船舶のバラスト水管理、製鉄所の排ガス処理、建物の空調設備、発電所のタービン冷却、食品の粉体管理関連など広い分野で同社のバルブが採用されている。生産体制は技術研究所を備えた本社工場をコアに、早い時期に展開したマレーシアと中国を加えた3極に配置。設計から製造まで一貫した効率生産システムを構築し、高品質ものづくりで顧客に支持されている。

受け継がれるものづくりの精神

バタフライバルブは円盤状の弁体を回転させて開閉し流体を制御する。口径が大きくなるほど軽量化でき、配管の省スペース化も計れるのが特徴。同社では口径が40ミリ~2400ミリメートルまでと幅広く扱っている。従来の仕切り弁に比べて軽量化できることから、「昭和40年代の軽量化を求める船舶業界のニーズにぴったり合致した。さまざまな業界の軽薄短小など多様な顧客仕様に対応、柔軟に開発できる技術力と連綿と受け継がれたものづくり精神が当社の強みだ」と村井米男社長は自負する。

村井米男社長

強みは同社の歴史から垣間見ることができる。同社は1902年に創設した鍛冶屋の鋸製造所をルーツに、当初は鋸生産を手がけ、バルブメーカーへ転身したのは1952年のこと。既に当時は滋賀県彦根市とその周辺はバルブの一大産地を形成、滋賀を代表する地場産業産地となっていた。「後発だったからこそ強くなれた。開発力など今の強みの礎となっている」と村井社長は逆説的だ。バルブは規格製品でサイズや形状、素材などが決まっており、また、それぞれに強い特定メーカーがあるのが実情という。

「そんな市場に打って出る、勝ち残るには、チャレンジ精神が必要だった。いろんなアイデアを出して、顧客に価値を提供することが、後発メーカーが他社と差別化できる術だった」と振り返る。その上で全国5カ所の営業拠点から寄せられる顧客要望など営業情報、製造や生産管理部門の要求、市場調査など日々の活動が結集し、常に独創的な発想の製品を生み出す。

受注につながる好循環

1977年開発の「515型」をはじめとしたゴムシートバタフライバルブは独自のタッチシール方式を採用、スムーズな開閉を実現し、汎用バタフライバルブとして定着したのは一例だ。「社員ひとりひとりが持つ独創的な発想は、後発のハンディ克服が端緒となった」と村井社長と繰り返す。

液体、気体、粉体、スラリーなど流体の種類、また流体の温度や圧力にあわせてさまざまなサイズ、材質、バルブの制御方法など顧客の要望は多岐にわたる。上下水道や一般工業用、電子制御タイプなど充実したラインアップをベースに用途や使用環境に細やかに対応できるようカスタマイズして提案する。データは蓄積され、標準化へ活用することで顧客満足が高まり、次の受注へとつながっていくというスパイラルで事業を強固にしている。

着実な成長を遂げてきたが、さらなる成長を目指して中期経営計画に取り組んでいる。その骨子は「早い時期に売上高100億円を目指す」と現在の2倍を目標に掲げた。そのための成長エンジンとして、船舶の排ガス規制対策に対応したバルブなど新市場開拓、既存製品の品質やコストを再設計して競争力を強化、2018年4月に舶用環境営業部を設立するなど組織戦略の強化、評価管理制度など従業員が効率よく安全に働ける人材戦略の充実をあげる。

また、1990年のオーケーエムバルブマレーシア設立、1998年の本社新築、2003年の中国・蘇州奥村閥門設立、2008年のマレーシア新社屋移転と定期的に設備投資を実行してきた。さらに生産能力の増強を狙って、滋賀県東近江市に滋賀東近江工場の建設を進めている。2019年4月完成の予定で、規模は敷地面積が1万3250平方メートル、建築面積が5100平方メートルで本社工場と並ぶ大型工場となる。新規需要の船舶の排ガス規制対応バルブ生産が主となる予定だ。これまで海外生産した標準品を国内でカスタマイズして短納期を実現してきた日本・マレーシア・中国の3極が連携した効率生産システムはさらに強化されることになる。

地域とともに成長

2017年末、地域の経済成長の牽引が期待される企業として経済産業省の地域未来牽引企業に選ばれている。近畿経済産業局でコンシェルジュを務める谷原秀昭氏は「地域に溶け込んで成長してきた代表的な企業。地元バルブ組合をはじめ滋賀経済産業協会、公設試、大学など地域の支援機関との連携を通じて自社の成長と地域の活性化をシンクロさせてきた。地域の自律的発展が求められているなか、どっしりと構えて関西経済の元気に寄与してもらいたい」と手放しで評価する。

近江商人が心得とした「三方良し」は、売り手・買い手・世間の三方で、売り手と買い手が満足し、社会貢献にも役立つのが良い商売であると言う意味。同社ではこれに、バルブユーザーの満足である「使い手良し」、そのバルブを提供する同社の「創り手良し」を加えた「五方良し」を提唱している。
村井社長は「いいものを作って顧客に喜んでもらう、これがものづくりの使命」とシンプルだが限りなく高い目標に向けて手綱を緩める気配はない。

▽所在地=滋賀県蒲生郡日野町大谷446の1▽社長=村井米男氏▽創業=1902年1月▽売上高=58億円(2018年3月期)
【コンシェルジュの目】
【近畿経済産業局 谷原秀昭氏】

コンシェルジュは、地域未来牽引企業が抱える経営課題の解決や成長のお手伝いができるよう、緊密なコミュニケーションを通じ信頼関係を構築しながら情報収集に努めています。具体的に支援ニーズが出てきた場合、国のみならず自治体等の各種施策から最適なものが選択できるよう、事業者了解のもと自治体等とも情報を共有しています。
オーケーエム社は研究所の拡充も計画されておられますが、地域未来牽引企業に対する国の支援だけでなく、地域の稼ぐ力の向上にも資することから当局と滋賀県が連携を図りながら支援手続きを進めています。今後もこのように、国・自治体・企業の3者連携をロールモデルとして取り組んでいきたいと考えています。(談)

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