地域未来

積極的な新技術導入で〝診る〟を究める

非破壊検査で安全と品質を守る 新日本非破壊検査

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中山社長(中央)は誠実な対応を日々呼びかける(配管検査ロボット「エルボマスター」 )


 見えない傷を〝診る〟。新日本非破壊検査は九州で初めての総合非破壊検査会社として、1960年に創業した。以来、電力や鉄鋼、化学プラントなど、九州を始め西日本地域の工業地帯にある設備の保安検査に携わってきた。最近では次世代技術として配管ロボットやドローン(飛行ロボット)を活用した検査を始めるなど、技術に強い企業として競合他社からも一目置かれる存在だ。

技術革新、積極的に取り入れる

 創業当時の北九州市(当時は福岡県八幡市)は、4大工業地帯として隆盛を極めていた。すでに横浜市や大阪市でも非破壊検査会社が相次いで設立されており、八幡製鉄所(現新日鐵住金)の後押しもあったことから、九州最大の工業都市での起業が決まった。
 創業翌年の61年には三菱重工業長崎造船所など長崎地区での業容拡大を目指して長崎出張所を開設。同年には石川島播磨重工業(現IHI)との取引拡大のため、兵庫県相生市にも相生出張所を開設するなど順調に事業を拡大した。その後も京浜・京葉地区にも進出するなど、西日本の枠に収まらない拡大が続いた。
 70年代にはさまざまな技術革新が進んだが、それを積極的に経営に取り入れることで業界内で地歩を高めていく。検査方法がそれまでの放射線から超音波へ移行する中でいち早く取り入れた。また新技術として位相法による渦流探傷(ECT)に取り組み、ECT技術が国内に広がる先駆けとなった。
 当時まだ新人だったと笑う中山安正社長は「新しい技術を取り入れる、もっといい検査を安全に行いたい、社内はそんな空気感にあふれていた」と往時を懐かしむ。進取の気性は現在まで連綿と引き継がれている。

中山安正社長


 現在は売上高の50%超が電力プラント、次いで化学と鉄鋼を中心とした素材関連が20%ずつを占める。いずれもわが国の産業の根幹を支えるインフラプラントだけに細心の注意はもちろん、丁寧な作業が求められる。このため検査技術はX線や超音波だけでなく、レーダー波など、多彩な技術を駆使して行われている。
 最近ではモノづくり立国の日本でも自動車の完成検査や建築物の耐震偽装、免震データの改ざんなどさまざまな不正が横行しているが「誠実に事業を積み重ねてきた信頼が今につながっている。信頼がなければ達成感も得られない。誠実に対応しよう」と中山社長は日々従業員に語りかけており、この姿勢が同社の特徴であり、また強みになっている。

プラント管内をロボットが自走

 常に新技術を追い求める同社が注目しているのが自動化だ。プラント配管内を自走する専用ロボットを開発、運用を進めている。遠隔操作で配管内をロボットが自走することで、狭い場所や高所に敷設された配管でも足場を設けることなく検査が可能になる。当初は東京ガスと共同開発した直径800ミリメートルのガス管検査に利用してきたが、ガス管は地下の平たん部に敷かれていることが多い。だが発電所や化学プラントの配管は複雑で高所なため、より高度な性能が求められた。
 福岡県工業技術センター機械電子研究所と共同開発した「エルボマスター」は、前後上部に取り付けた特殊車輪で管内を360度回転しながら自走する。LED照明や相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラも搭載しており、遠隔操作でも不良箇所の発見・撮影が簡単に行える。現在は直径80ミリメートルの小口径から、同700ミリメートルの大口径まで3タイプの製品を用意して、複雑な作業分野でのサービスを行っている。

ドローンでさらなる成長を

 一方、新たなサービスと期待しているのがドローンを使って橋梁やトンネル内部の欠損、ひび割れを検出するシステムだ。現在は作業者が目視と手作業で行っている打音検査を代替することで、省人・高速・効率化を実現する。事業は内閣府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が管理法人となって実用化に向けた取り組みが進む。
 「近接目視・打音検査等を用いた飛行ロボットによる点検システム」と題した同技術はドローンにアームを取り付け、その先端部に複数の回転式ハンマー(打音検査機構)やカメラを装備する。ドローンは橋梁やトンネル壁面の覆工面を車輪駆動により移動しながら、近接目視と打音検査を行う。また超音波検査装置を搭載し、部材の厚さ測定を行うこともできる。異常は音信号の変化とカメラが検知するため、作業者は異常箇所のみを再点検後補修すればよい。
 これまで人手では難しかった高所や難所での作業が簡単に行えるため作業リスクを大幅に低減できる。1日の作業距離も手作業の3倍近い2キロメートルを計画している。
中山社長は今後も北九州から最新の技術を全国に提案していきたいと考えている。「往診型のサービス事業のため顧客は市外、県外が多い。だが本社は北九州にある。雇用や技術開発で地域貢献を担い、今後も地元と一緒になって成長していきたい」と望んでいる。

【企業情報】
▽所在地=北九州市小倉北区井堀4の10の13▽社長=中山安正氏▽創業=1960年▽売上高=64億円(2018年3月期)

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