METI Journal

経済産業省

【地域未来牽引企業】電気を通じ「くらし」支える

家庭の「困りごと」もサポートの九南

地域に張り巡らされた配電線を効率的かつ安全に敷設する
地域に張り巡らされた配電線を効率的かつ安全に敷設する

 九南は1948年に宮崎県都城市で事業を開始し、今年創業70周年を迎えた。電気関連を中心とする各種工事業で成長を続け、地域を代表する事業者に成長した。
 事業の始まりは、市内周辺の屋内線電気工事からだったという。太平洋戦争からの復興に伴い、九州域内に電力網が広がる中で送電工事、通信工事、発変電工事へと事業を拡大していった。

 

発電工事から一般家庭の工事まで

 地域の電力会社である九州電力とともに成長の歩みを続け、1968年には九電の「送電線工事本店登録業者」となった。本店登録業者は、電力会社が各県の支店単位で設けている登録業者に比べて、ランクが高い。黒川浩之社長は「地域の協力事業者としての位置付けを確かなものとする出来事だった」と振り返る。
 その後も、顧客からの要望に応える中で土木、配電、発変電、通信、空調管などへと事業領域を広げた。「送電から配電、発変電、内線まで、単独の会社で全ての分野をそろえているという会社は珍しい」(黒川社長)という。
 現在、それぞれの事業が一定のレベルを維持できているのは、これまでの積み重ねに他ならない。そして、これら複数の事業を一カ所で請け負うことができるのも同社の強みといえる。
 現在11社のグループ会社を有し、グループ全体で1000人を超える社員を抱える。事業が拡大する中で、これを支える人材育成にも力を注いできた。
 同社では「ブラザー・シスター制度」という社員教育の仕組みを取り入れている。若手社員と先輩社員が一対一でコンビを組み、業務の手ほどきを受けるというもの。「仕事だけでなく、プライベートな悩みなども含めて相談に乗っているようだ」(同)という。技能伝承の面で、また離職を防ぐ意味でも効果的な取り組みといえるだろう。

 

100年企業目指して

 70周年を迎えた同社は、現在中長期計画を策定中だ。詳細は今年秋に明らかになるが、社長方針として『100年企業を目指す』ことが明確に打ち出されるという。
 また、経営目標としては『10年後に売上高200億円、経常利益率10%』を掲げる。17年度実績は同131億円、5%。目標に向けては「IT化の推進、業務の効率化」(同)が不可欠となる。また在宅ワークなど柔軟な働き方に対応する働き方改革にも着手する計画だ。
 今後の成長に向けて現在同社が力を入れるのが個人客をターゲットとした「リテール事業」だ。10年に発足した「きゅうなん隊」と名付けた営業部隊が、その中心的な役割を果たしている。
 社名と“救難”をかけた名称が表すとおり、家庭の困りごとをどんなことでも対応することをうたい文句にしている。オール電化やリビングの改装、エアコンの設置工事や家のリフォームまで、同社の事業領域外のことまでもカバーするという。
 公共工事の減少が進む中でも「個人向けは伸びしろがある」(同)とみて、事業の柱とするべく取り組んでいる。事業が発足した初年度に10億円弱だった売上高が、現在では約3倍に増加。利益面でも同社の事業に大きく貢献している。
 現在宮崎県と福岡県内に60人を超える専任スタッフがおり、『きゅうなん隊』のロゴを掲げた車が各地を飛び回っている。

省エネ推進の中心的存在

 今では地場有力企業に成長した同社に対しては地域からも期待が大きい。省エネ推進の中心的な存在としての役割を担っているのも、その一つだ。
 同社では、社員のうち8人が宮崎県の地球温暖化防止推進委員に登録されている。県内の委員数は50人程度というからかなり高い割合だ。本社所在地である都城市がエネルギー削減に積極的ということもあり、行政と歩調を合わせて、省エネ企業としての地域貢献にも積極的に取り組んでいる。
 自社内の事業部門でも「省エネ事業推進部」が18年春に発足した。中小企業の事業所などを対象として省エネルギーにかかわる提案、マネジメントを手がける。同社は2017年度、2018年度と経済産業省の「省エネルギー相談地域プラットフォーム構築事業」に採択された。省エネの専門家が顧客からのさまざまな相談に対応しており、それぞれに最適な提案を行うことで地域の省エネ実現に貢献している。

黒川浩之社長
黒川浩之社長

 創業70周年を迎える18年度は、全社員と家族の総勢500人以上が集まる大運動会や、宮崎市内のリゾート施設での懇親パーティー、取引先を交えた大感謝祭など大きなイベントが控えている。
 また、記念事業の一環として、同社単独では初めて、大規模な植樹を行うことも決定している。都城市内に「九南の森(仮称)」として、桜などの広葉樹を約2ヘクタール植える計画が進んでいる。
 宮崎県で生まれ大きく成長した同社。地域にしっかりと根を張りながらも、県内外で新たな事業の花を咲かせられるよう、次なる挑戦が続く。
 【企業情報】
 ▽所在地=宮崎県都城市都北町5070▽社長=黒川浩之氏▽設立=1948年3月▽売上高=131億8000万円(17年6月期)

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