統計解説

3.1%アップに貢献したのは数量か価格か?

2017年商業販売額の要因分析

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2017年の卸売業販売額は、313兆円で、前年比3.6%上昇だった。同じく小売業販売額は、143兆円で、前年比1.9%の上昇。この卸と小売を合計した商業販売額は、456兆円で、前年比3.1%上昇だった。
この商業販売額全体の前年比の動きを生み出したものが何だったのか、卸売業と小売業、そして、数量要因と価格要因に分けて検討してみよう。

*卸売業と小売業の前年同期比は

まず、卸売業、小売業それぞれの販売額の前年同期比を、四半期単位で比較してみる。
卸売業、小売業ともに、2015年第1四半期は、前年の消費財税率引き上げ前の駆け込み需要からの反動減で前年同期比が落ち込んでいる。また、その翌四半期は駆け込み後の反落で大きく低下した2014年第2四半期との比較で前年同期比のグラフが大きく上昇した。この2時点は特殊事情ということになる。これらを除くと、小売業販売額の前年同期比は、0%前後、つまり前年並みの水準での推移となっていた。
他方、卸売業販売額は、消費税率引き上げ後、前年水準を大きく下回る状態が2016年いっぱい続いており、大分低い水準になっていた。しかし、2017年に入り、反転上昇基調となり、4期連続の前年同期比上昇で、第4四半期には、前年同期水準に比べて、6%近い上昇となっている。
2017年の商業販売額の推移においては、小売業の前年同期比はプラス推移だったが、卸売業には、さらに勢いがあったことが見て取れる。

卸売業販売額の要因分解

では、2017年の伸びに勢いのあった卸売業販売額だが、その変動要因を、数量要因(どれくらい数が売れたのか)と価格要因(値段がどれくらい上がったのか)に分けて、それぞれの貢献度(寄与) を見ていく。
下のグラフでは、卸売業販売額の前年比(左側)と前年同期比(右側)に対して、数量要因(青の棒グラフ)と価格要因(橙の棒グラフ)に分けて、それぞれの貢献度(寄与)を棒の長さで表現している。
このグラフから明らかなように、2015年から2016年にかけての卸売業では、価格要因がマイナス要因になっていた。数量要因は、多少プラスにはなっていたが、価格要因の前年同期比低下寄与が非常に大きく、多少の数量要因のプラスでは追いつかなかった。ただ、価格要因マイナスの原因の一つは、原油価格の低下であり、企業間取引の価格水準が全般的にひどく低下していたということもでもない。
ここから、2017年には、価格要因が大きく反転上昇し、卸売業販売額上昇の大きな要因となっている。数量要因は、同年第4四半期にプラスとはなるが、通年ではマイナスとなっており、2017年の卸売業販売額の前年比を生み出したのは、価格要因だったということになる。

小売業販売額の要因分解

比較として、小売業販売額についても、数量要因(灰色)と価格要因(黄色)に分けて、その前年比、前年同期比の変動要因をグラフにしてみる。
すると、2017年の小売業販売の伸びに対し、価格要因もプラス寄与を見せているが、数量要因も、それに匹敵するプラス寄与を見せていた。 特に、2017年の第2四半期以降は、むしろ数量要因が小売業販売額の上昇要因となっていた。
原油価格の上昇を背景に価格要因が伸びを生み出した卸売業に対し、耐久消費財、非耐久消費財を問わず数量要因が伸びを生み出した小売業と、2017年のそれぞれの販売額の要因分解は対照的な結果となっていた。

2017年の商業販売額の動きを生み出したもの

では改めて、販売額456兆円、前年比3.1%上昇となった商業販売額(卸と小売の合計)の変動要因と、卸売業と小売業、価格要因と数量要因に分けて、その影響度合いを検討してみよう。以下の円グラフは、前年比上昇分を4つの要因に分けて構成比を円グラフにしたものである。
これをみると、2017年の商業販売額の前年比上昇を生み出した要因の大部分は、卸売業の価格要因(企業間取引の価格上昇)であったことが分かる。小売業の数量要因もプラスへの影響を持っているが、それは商業全体の伸びの10%ほどを説明するに留まっている。
2017年の商業は、卸売取引における価格上昇によって上昇していたが、2018年は2017年中に明瞭になってきた小売業における数量要因のプラス寄与が、商業全体をどれくらい動かすことになることから、是非とも注視していきたい。

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3.1%アップに貢献したのは数量か価格か?

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