METI Journal

経済産業省

今、福島は vol.4

インタビュー特集「廃炉・汚染水対策に挑む作業員たち」

現場で続く技術的な挑戦

       
       

 東京電力福島第一原子力発電所では、多くの企業が前例のない技術的課題の解決に取り組んでいる。除染や汚染水対策が進んだことで、現場は落ち着きを取り戻しているが、30年~40年先の廃炉に向けては、まだまだ多くの技術開発が必要となる。そこで、実際に現場で技術的な挑戦を続けている方々の声を聞いた。

格納容器の内部調査に「ミニマンボウ」を開発

東芝エネルギーシステムズ
プラントサービス・応用技術開発部
松崎謙司 氏

              
              

 ―担当は何でしょうか?
 「福島第一原子力発電所向けの調査ロボットの開発を続けています。ロボットの活躍する分野は様々ありまして、特に人が立ち入れない領域で作業を行うロボットの開発では非常にやりがいを感じています」

 ―3号機の調査で使用した水中遊泳ロボット「ミニマンボウ」を開発しましたが、どのような難しさがありましたか?
 「3号機のペデスタルと呼ばれる原子炉圧力容器を支えるコンクリート製の基礎の内部を、水中を泳いで調査するロボットですが、事故の後にそのエリアがどのような状況になっているのか分からない中で開発しなければなりませんでした。調査場所の状況や構造物の破損状態が分からない中でも移動できるように、小型化と、ケーブルを引っ張りながら進められるような高い推進力を両立させるのに苦労しました」

 ―今後はどのような開発を進めていかれますか?
 「現在はようやく原子炉近傍の状態をロボットで確認できるようになった段階です。燃料デブリの取り出しでは、より過酷な環境で複雑な作業をすることが必要となります。ミニマンボウの形にとらわれることなく、そのようなことを可能とする技術開発に取り組んでいきたいと思っています」

3号機の使用済み燃料取り出しのシステム開発

東芝エネルギーシステムズ
原子力機械システム設計部機械システム設計第二担当主務
篠﨑史人 氏

              
              

 ―何の開発に取り組まれていますか?
 「使用済み燃料プールからの、ガレキの撤去、そしてプール燃料取り出しまで、一連の作業を遠隔で実施できるシステムを開発しました。東芝京浜事業所内などでの動作確認を終え、計画通り3号機にクレーンなどの大型機器を設置しました。3号機では2018年度中頃からプール燃料の取り出しが予定されています」

 ―苦労された点は?
 「非常に限られた期間で、通常の原子力発電所とは違う作業環境の中で設計しなければなりません。現場の方々が作業しやすく、安全確実に作業できるように設計を検討し、事前準備して実際のものに反映していくというところが一番たいへんでした」

 ―どういったところにやりがいを感じていますか?
 「これまで誰もやったことのない仕事に取り組めていることです。いろんな分野の設計者、工事担当者、試験担当者の方々と協力して一つの目標に向かって力を合わせて作業をしていく時や、その結果が世の中の役に立っている時が、やりがいを感じます」

 ―今後の目標は何でしょう?
 「3号機のプール燃料取り出しなどが計画されていますので、それらの作業を確実に行い、完全に作業していくことに取り組んでいきたいと考えています」

前例のない規模の凍土壁を造成

鹿島建設
東京土木支店福島第一凍土遮水壁工事事務所 所長
阿部功 氏

                  
                  

―どのような分野を担当されていますか?
 「汚染水を建屋に近づけない対策の一つとして進められている陸側遮水壁、いわゆる凍土壁を担当しています。凍結工法は東京湾アクアラインの海底シールドトンネルでも実績がありますが、私が初めて赴任した現場がそこで、同工法を担当しました。しかし、今回のように全長約1500メートル、深さ30メートルという大規模で、かつ長期間凍土壁を維持するようなものは未経験でした」

 ―前例のない工事だと苦労した点も多かったのではないですか?
 「凍土壁の工事では1500本以上の凍結管の削孔に非常に高精度なボーリング作業が必要でした。そのために技術を持った専門職の方、それと削孔機械が多数必要となりました。弊社とグループ会社を挙げて、全国の専門工に声をかけ、社員はローテーションで来てもらいました。ピークの時は1日に900人以上が現場に入り作業にあたりました」

 ―凍土壁の今後の計画は?
 「昨年の8月に未凍結区間として残していた最終箇所の凍結運転を始め、全周にわたる凍結運転を行っています。順調に温度は低下しており、東京電力から建屋に入る水の量もずっと少なくなってきたと発表がありました。次のステップは、この凍土壁を維持していくことです。凍土は冷やしすぎると膨張しますので、太らせすぎないように、やせすぎて機能を損なわないように調整しながら運転していきます。凍結工法は他の工法よりも工事期間が短いということに加え、万が一、また大きい地震が来て凍土壁にひび割れが生じてしまっても、凍結運転を続けていれば氷が成長してまたつながるという、自己修復性という大きなメリットも持っています」

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