METI Journal

経産省

エネルギー vol.3

エネルギー価格は安くて安定が理想だが・・

経済性の視点から

               
               

 光熱費の負担が重くなると聞かされれば、誰もが不満に思うだろう。エネルギーが“品不足”になっては困るし、価格が大きく変動するのも経済的影響を考えれば深刻だ。供給とコストの安定をどのように実現するのか。資源に乏しいわが国にとって、経済性の視点は避けては通れない。

電源別の発電コストは?

 2015年7月にまとめられた、長期エネルギー需給見通し。そこでは2030年を見据えた電源構成が検討されたが、そのベースとなる発電コストも電源別に試算されている。燃料費や設備費、運営費に加え、安全対策費や政策経費や事故リスク対応費、CO2対策費なども盛り込み検証された。それぞれのコストを見てみよう。

                
                

 1キロワット時の発電コストは、原子力が10.1円以上。さらに追加的安全対策費が2倍増えると、コストは0.6円上昇するなど、条件が変化した場合の感応分析も行った。二度と原発事故を起こさないように安全対策は万全を期さなければならない。そのため8.9円と試算された2010年モデルプラントからは、発電コストの上昇は免れない。それでも他の電源と比べた時に、コスト面では優位性が見られる。

ピーク電源の石油は割高

 火力発電では石炭火力が12.3円、LNG火力が13.7円、石油火力が30.6~43.4円となっている。設備利用率は石炭とLNGが70%とされているが、ピーク時の発電に使われることが多い石油は30%と10%で試算している。火力の場合は今後の資源価格による変動が発電コストに影響する。将来のことを見通すのは難しいが、長期的には新興国の生活水準が向上するとともに、需要が伸びるのは避けがたい。足元では米国のシェール革命もあり需給が緩んでいるが、どこかで大きく高騰に転じるリスクは残る。ほんの数年前まで1バレル200ドル間近と言われたことも記憶に新しい。

 国産エネルギーであり、CO2排出も抑えられる再生可能エネルギーへの期待は大きいが、発電コストで見るとどうだろう。一般水力は11.0円ともっともコスト面では優れているが、大規模なダムを開発できる適地は限られ、今後さらなる開発は難しい。

コスト低減進む太陽光

 固定価格買取制度(FIT)で導入量が急増している太陽光発電については、事業用の大規模な、いわゆるメガソーラーで24.2円、住宅用では29.4円と試算されている。また、価格目標としては非住宅用では7円、住宅用では売電価格が11円(電力市場価格並み)になることが掲げられている。足元で徐々にコスト低減が進むが、欧米と比べると低減できていないことが明らかになっており、今後の更なるコスト低減への努力が期待される。

 風力発電は21.6円(価格目標は8~9円)、地熱発電は16.9円、バイオマスは化石燃料との混焼だと12.6円だが、バイオマス燃料だけの専焼では29.7円と試算されている。

2014年モデルプラントでの発電コスト試算(カッコ内は政策経費を除いたコスト)
2014年モデルプラントでの発電コスト試算(カッコ内は政策経費を除いたコスト)

 これら再生可能エネルギーの中でも太陽光と風力は発電量が気象条件に左右されるため、電力を受け入れる系統制約の克服蓄電池の技術開発も必要となってくる。

それぞれ一長一短

 十分な安全対策が必要とはなるが、安定した価格で電力を供給し続けられる原子力発電、世界情勢で資源価格の動きが影響されやすい火力発電、現時点ではコストが高いが今後の技術進歩によってコスト低減が期待でき、国産エネルギーでもある再生可能エネルギー。それぞれ一長一短があるだけに、それらの特徴を活かしたベストミックスをどう組み立てていくのか。再生可能エネルギーや蓄電池などの研究開発を今後も進めながら、考え続けなければならない。

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