統計解説

2月の鉱工業生産 再び低下に転じる

福島県沖地震や半導体不足の影響も

 
 2021年2月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.7、前月比マイナス2.1%の低下となった。2月当初の企業の生産計画に含まれる傾向的な上方バイアスを補正した試算値では、前月比マイナス0.4%の低下(90%レンジではマイナス2.1%~1.3%の間)となっていたが、実際の2月の生産は、試算値の下限に近い低下となった。もともと2月当初の企業の生産計画には2月13日の福島県沖地震の影響は十分織り込まれていなかったため、その影響もあって2月の生産は例年の傾向より大きめの低下となったと考えられる。
 生産は、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年2月から5月まで大幅に低下した後、6月以降は一転、10月まで勢いのある上昇が続いた。11月、12月は増産が一服していたものの、2021年1月は大幅上昇となり、ならしてみれば回復基調は続いているが、2月は低下となった。
 また、2021年2月の生産水準は、感染症拡大前の2020年1月(指数値99.8)と比べてもいまだ低く、今後も回復を期待したいところである。

生産用機械工業など上昇に寄与

 2月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、11業種が前月比低下、3業種が前月比上昇、1業種が横ばいという結果だった。
 2月は、生産用機械工業、輸送機械工業(自動車工業を除く)、電子部品・デバイス工業は上昇に寄与したものの、自動車工業、電気・情報通信機械工業、化学工業(無機・有機化学工業・医薬品を除く)などが低下に寄与した。

 主な低下寄与業種についてみてみると、まず、低下寄与の最も大きかった自動車工業は、前月比マイナス8.8%の低下で、2か月ぶりの低下だった。普通乗用車、自動車用エンジンなどが低下要因となっている。2月13日の福島県沖地震による部品供給停止や半導体不足の影響もあり、生産減となったと考えられる。
 低下寄与2位の電気・情報通信機械工業は、前月比マイナス2.9%の低下で、2か月ぶりの低下だった。基地局通信装置やセパレート形エアコン、一般用タービン発電機などが低下要因となっている。電気・情報通信機械工業は前月に大幅上昇(前月比7.6%)しており、その反動減などがあったと考えられる。
 低下寄与3位の化学工業(無機・有機化学工業・医薬品を除く)は、前月比マイナス5.7%の低下で、2か月ぶりの低下だった。合成洗剤や仕上用化粧品等が低下要因となっている。設備点検の影響や、前月の上昇からの反動減があったと考えられる。

出荷は2か月ぶりの低下

 2月の鉱工業出荷は、季節調整済指数94.4、前月比マイナス1.5%と、2か月ぶりの低下となった。出荷に関しても、1月は前月比3.2%と大きめの上昇だったが、2月は低下となった。

 業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が低下、3業種が上昇となった。
 低下寄与業種としては、寄与度の大きい順に、自動車工業、電気・情報通信機械工業、その他工業などとなっている。低下寄与1位・2位の業種については、生産と同様となっている。
 財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比マイナス1.8%の低下、最終需要財の出荷は前月比マイナス0.5%の低下だった。
 最終需要財の出荷について内訳ごとにみると、まず消費財については、前月比マイナス3.2%と、2か月ぶりの低下となった。そのうち耐久消費財の出荷については、前月比マイナス8.7%と、2か月ぶりの低下となった。非耐久消費財の出荷は前月比マイナス0.6%と、3か月ぶりの低下となった。
 一方、設備投資に使われる財である資本財(輸送機械を除く)の出荷は、前月比2.9%の上昇となり、2か月連続の上昇となった。
 また、建設財は、前月比マイナス1.4%と、2か月ぶりの低下となった。
 財別の出荷動向を通してみると、2020年10月まで生産の回復をけん引していた耐久消費財の出荷はこのところ伸び悩みをみせているものの、他方で耐久消費財や生産財より回復の遅れていた資本財(輸送機械を除く)の出荷は回復傾向が続いており、生産回復のけん引役が変わってきている様子がみられる。

在庫は3か月ぶりの低下

 2月の鉱工業在庫は、季節調整済指数94.3、前月比マイナス1.0%と、3か月ぶりの低下となった。在庫は再び今基準内で最低水準まで低下した。
 業種別にみると、15業種のうち、8業種が低下、7業種が上昇となった。低下寄与が大きかった業種としては、自動車工業、化学工業(無機・有機化学工業・医薬品を除く)、電子部品・デバイス工業などが挙げられる。

生産の基調判断は据え置き

 2月の鉱工業生産は、前月比マイナス2.1%の低下となった。生産は、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年2月から5月まで低下が続いた後、6月以降は一転、回復傾向が続いている。10月まで勢いある上昇が続いた後、11月以降は上下に振れのある動きで推移しており、2021年1月は大きめの上昇となった後、2月は再び低下となった。
 この背景には、1月の大幅上昇の反動減があったことに加え、2月13日に発生した福島県沖地震や半導体不足の影響が自動車工業などに現れたことが挙げられる。
 一方、先行きに関しては、企業の生産計画では3月は低下であるものの、4月は大幅な上昇となっている。4月の上昇幅については、実際は計画ほどには上昇しないと考えられるが、生産は上下の振れはありつつも、ならしてみれば回復傾向は続いているものと考えられる。
 こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の2月の基調判断については、「生産は持ち直している」を据え置くこととする。他方で、先行きに関しては、新型コロナウイルス感染症の感染動向やサプライチェーンの状況がもたらす影響にも十分注意する必要がある。3月以降の生産の動向についても注視していきたい。

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