地域未来

非常用自家発電装置で社会を支える東京電機【動画】

1世紀にわたり積み重ねてきた顧客からの信頼

塩谷智彦社長。キュービクルタイプの防災用自家発電装置を前に


 自家発電装置の製造・販売を手がける東京電機は、2020年に創業100周年を迎えた。非常用・防災用の自家発電装置の分野では、業界内で屈指の企業として社会の安心・安全を支えている。確かな技術力で品質の高い製品を供給しつつ、中小企業ならではの小回りの利く強みを生かし、顧客の信頼を積み重ねてきた。地元のつくば地域に根ざした活動にも注力しつつ、次の100年を見据えている。

高いレベルの品質を確保

 東京電機は、ディーゼル燃料の自家発電装置の専業メーカーで、出力3.5kVA(キロボルトアンペア)の低圧タイプから同2000kVAの高圧タイプまで幅広い機種を製造。ビルやマンション、ショッピングセンター、病院、工場など国内のさまざまな施設で採用されている。
 「非常時に間違いなく運転して電気を供給すること。これが当社の製品に求められる第一の使命」。塩谷智彦社長は説明する。
 同社の製品は、スプリンクラーや消火栓などの消防設備を作動させるための防災用電源、非常時の生活に必要な電気を供給するための非常用電源として設置される。災害時に人命や財産を守るための電気を供給する役割を担うことから、製品の品質には高いレベルが要求される。製造した装置は徹底した品質検査を通じて出荷されるほか、グループ会社で販売後の定期点検に関するサービスを提供するなど、万が一の事態に電気を安全に確保するための備えをトータルでサポートする。
 製造拠点である本社工場は茨城県つくば市にあり、自家発電装置の設計・開発から製造、品質検査までの一貫体制を構築している。1975年に現在の地に工場を構えて以来、製品の出力の大型化などに伴い、段階的に工場を拡張してきた。2020年9月には第5工場を稼働。同工場は完成品をストックする施設としても活用し、顧客に製品を迅速に供給する体制の整備も進めている。また本社工場内には、営業部門やメンテナンスを手がけるグループ会社「東京電機機器サービス」の事業拠点も配置。グループ全体で約190人の従業員の多くは本社工場に勤務する。

発電機の出力大型化に対応する

関東圏でトップクラスのシェア

 同社が年間に供給する自家発電装置の設置台数は約1200台(2017年度)で、国内シェアの約2割を占める。自家発電装置の国内市場は上位3社が全体の約9割のシェアを握るが、東京電機はその一角を担う。供給先は全国に広がっており、とりわけ関東圏ではトップクラスのシェアを誇る。
 中小企業でありながら、業界内で確固たる地位を築いている同社。塩谷社長は自社の強みについて、「営業と製造の現場の距離が非常に近く、お客さんの要望にそったモノをスピーディーに提供できること」と分析する。大手メーカーの系列に属さない独立系の企業として、風通しの良い社風であることが社内の部門間のコミュニケーションを円滑にし、迅速な意思決定につながっている。年功序列ではなく実力主義の人事制度を導入するなど、柔軟性のある組織風土も企業成長の原動力と言えそうだ。

時代のニーズに対応 機能を改善

 設立は1920年。大正時代にさかのぼる。「東京電機製造」として現在の東京・南千住の地で産声を上げたことが「東京」を社名に冠する所以である。当初は精米機のモーターや小型水車の製造を手がけ、その後、1938年に現在の茨城県土浦市に工場を構え、戦時中には本社も移転した。戦後は土浦工場周辺の宅地化が進んだことから、茨城県の旧桜村(現つくば市)に本社工場を移転。社名も「東京電機」に変更し、現在に至る。
 時代とともに、生産品目も変遷してきた。創業から約半世紀は陸用とともに船舶用の発電装置を製造しており、第一次南極観測船「宗谷」に発電装置を納入した実績もある。高度経済成長期には生産主体を陸用の発電装置に転換。消防法で一定の施設には非常用電源の設置が義務づけられたことなどを背景に業績を伸ばした。市場拡大の一方で堅牢性や耐久性、始動性能など製品の機能面でも改善を積み重ね、顧客の信頼を獲得してきた。

非常用発電装置の組み立て工程


 近年は頻発する自然災害を背景に、事業継続計画(BCP)を策定する企業が増加するなど防災意識の高まりとともに非常用電源の需要も高まっている。こうしたニーズを捉え、出力2000kVAの大型機種も投入。製品の安定供給とともに、社会の要請に応えたモノづくりに一層、力を注ぐ。

つくばから全国に発信

 次の100年に向け新たな一歩を踏み出した同社。塩谷社長は「もっと前向きに、積極的に仕事を進めていきたい」と将来展望を語る。質の高い製品を提供する、これまでの経営理念を継承しつつも環境配慮型の発電装置など、時代の潮流、世界の潮流を意識した技術革新に取り組む必要性を痛感しているためだ。
 つくばの地に工場を構えて、はや半世紀。今後は地域貢献にも一層力を入れる方針だ。地元の取引先との関係強化を事業の発展につなげることはもとより、スポーツや文化活動などを通じた取り組みも模索している。安心・安全に貢献する製品を開発、製造する企業だからこそ、持続可能な地域社会の実現に寄せる思いもひとしおなのである。

【企業情報】
▽所在地=茨城県つくば市桜3の11の1▽社長=塩谷智彦氏▽創業=1920年▽売上高=約69億円(2020年3月期)