地域未来

茨城に新たな産業集積を生み出した百年企業「岡田鈑金」【動画】

板金から組み立てまでユニット一貫生産

多様な人材が活躍する岡田鈑金


 茨城工場を主力生産拠点とし、産業機器向けの精密板金加工を中心に手がける岡田鈑金(おかだばんきん)。板金加工をコア技術としながら、設計やプレス、塗装、組み立てなど広範囲な技術を保有。ユニットの生産まで行える一貫生産体制や、最新設備と熟練者の技能を融合した高い技術力により、顧客の課題解決を柔軟にサポートできる対応力にも定評がある。モノづくりの最良のパートナーとして、顧客とともに成長を続ける有望企業である。

最新設備を積極導入

 同社茨城工場が立地するのは茨城県のほぼ中心部、霞ケ浦の北端にも接する小美玉市。東京ドームほどの約4万6000平方メートルに上る広大な敷地面積を誇り、1988年に東京都大田区から生産拠点を移転して30年以上が経過した。小美玉市は農畜産業が盛んな地域であり、工場の周囲には農地や牧場が広がる。「昼夜稼働しても機械の騒音が問題になることはない。モノづくりには最適な場所だ」。増田武夫社長はこう語る。
 社名が象徴するように、板金加工が同社のコア技術だ。板金工程ではパンチレーザー/ファイバーレーザー複合加工機やファイバーレーザー溶接機など最新のレーザー加工機を多数配備。ロボットベンダーなど最新の自動化技術の導入も推進している。さらに、ライン内での工程統合やITネットワークを駆使した合理化により、顧客ニーズの多品種少量・変種変量生産に応えている。
 同社にはアマダのテクニカルパートナーという一面がある。アマダ製の最新設備を積極的に導入しつつ、実際に運用してユーザーの立場からアマダ側にアドバイスを送り、お互いに良好な関係を築いている。機械メーカーとのこうした特殊な関係性を含め、国内屈指の「設備力」を誇る。

ロボットベンターなど自動化設備の導入を推進

顧客の期待を超えるモノづくり

 一方で、岡田鈑金の強みは設備だけにとどまらない。設計、板金、プレス、溶接、塗装、組み立てなど幅広い機能を備え、それらを運用する技術力を持つ。同社の仕事は、一つの部品を図面通りに加工して取引先に納める単なる受託加工ではない。複数の工程を経てユニット品を製造して供給することこそ、同社の大きな特徴となっている。

ユニット品を製造し顧客に供給

 「顧客の期待を超えるモノづくりを常に心がけている。顧客の指示通りに加工するだけではなく、板金加工を含めた一貫生産の技能を駆使して顧客の困りごとを解決するような役割を目指している。付加価値の高い仕事をして、顧客からパートナーとして認めてもらい、お互いに成長していきたい」。増田社長は自社のモノづくりにかける思いをこう表現する。
 現在の取引先は、研究機器や医療用分析機器、半導体製造装置分野など幅広い業種にわたり、一つ一つの顧客を大切にする姿勢から、同じ業種の会社とは同時に取り引きを行わない「1業種1社」の方針を掲げる。こうしたバランスの取れた収益構造が、取引先の好不況の影響を受けにくい強靱な経営体質の背景にある。

茨城に「ミニ大田区」

 東京生まれの岡田鈑金は、高度な加工技術を持つ町工場が集積する東京・大田区で会社の礎を築いた。創業当時は精密板金加工が専業。現在のように板金以外の技術力を蓄積し一貫生産体制を構築したのは、前述のような広大な土地を求めて茨城県に進出した1988年以降のことになる。
 当時は大手企業の海外生産移転に伴い、国内市場の縮小が顕在化し、小規模な事業者が単独で生き残るのが難しくなり始めた時期。岡田鈑金では茨城工場開設後、板金能力を増強する一方、大田時代に取り引きのあった町工場の技術者らに声をかけ、従業員として迎え入れたり、茨城工場内での創業を促したりしたという。こうした経緯により、塗装や機械加工など大田区発の多様な加工技術が岡田鈑金に集結。茨城工場内に大田区の産業集積を実現した「ミニ大田区」とも言える一貫生産体制が構築されたのである。
 こうした動きを推進したのは武夫社長の父にあたる増田道造相談役。「茨城進出以降は、当社にとって第二創業の時期だったと言える。こうした事業の方向性を受け継ぎ、組織として発展させることが自分の役割だと思う」。増田社長はこう語る。

4代目となる増田武夫社長

OEM・ODMに挑む

 現在の一貫生産体制のレベルをさらに高めた上で、同社が中長期的に展望するのはは、OEM(相手先ブランド生産)やODM(相手先ブランドによる設計・生産)を手がける企業だ。そのためには「納期や品質管理能力に一層磨きをかける必要がある」(増田社長)と自己分析する。
 とりわけ重要となるのが人材だ。同社では、経験豊富な大手企業のOB人材を活用し社内に生産技術や工程管理のノウハウの蓄積を進めている。さらに将来を見据え、地元の茨城県内を中心に優秀な若手人材の積極採用にも取り組んでいる。
 「茨城は板金加工をするのに最高の立地環境。これからもこの地で、日本のモノづくりを下支えしていきたい」(増田社長)。2023年には創業100周年を迎える。同社の成長戦略は地域経済の発展にもつながってくる。

▽所在地=茨城県小美玉市三箇207の1(茨城工場)▽社長=増田武夫氏▽創業=1923年▽売上高=約23億5000万円(2020年6月期)