統計解説

2020年12月の鉱工業生産 2か月連続の前月比マイナス

自動車工業の回復に一服感


 2020年12月の鉱工業生産は、季節調整済指数93.2、前月比マイナス1.6%の低下となった。12月当初の企業の生産計画に含まれる上方バイアスを補正した試算値では、前月比マイナス2.3%の低下(90%レンジではマイナス4.0%~マイナス0.6%の間)となっていたが、実際の12月の生産は試算値を上回る程度の低下になった。
 生産は、新型コロナウイルス感染症の影響により、2月から5月まで指数は大幅に低下した後、6月以降は一転、10月まで勢いのある上昇が続いたが、11月は前月比マイナス0.5%と低下したのに続き、12月もマイナス1.6%低下となった。
 ただ、四半期ベースでは、前期比6.2%の上昇となっており、2020年第2四半期の大幅低下から、2期連続で回復が続いている。
 一方、12月の生産水準は、感染症拡大前の1月(指数値99.8)と比べてもいまだ低く、今後も回復を期待したい。

汎用・業務用機械工業 3か月ぶりに低下

 2020年12月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、10業種が前月比低下、5業種が前月比上昇という結果だった。
 12月は、無機・有機化学工業、その他工業、電子部品・デバイス工業などは上昇に寄与したものの、汎用・業務用機械工業、自動車工業、電気・情報通信機械工業などが低下に寄与した。

 主な低下寄与業種についてみてみると、まず、低下寄与の最も大きかった汎用・業務用機械工業は、前月比マイナス11.7%の低下で、3か月ぶりの低下だった。一般用蒸気タービン、水管ボイラなどが低下要因となっている。前月の需要増による上昇からの反動減が背景にあると考えられる。
 低下寄与2位の自動車工業は、前月比マイナス3.0%の低下で、2か月連続の低下だった。普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品、自動車用エンジンなどが低下要因となっている。自動車工業は6月から10月まで大幅な生産・出荷の上昇が続いてきたが、そこからの需要減が背景にあるものと考えられる。
 低下寄与3位の電気・情報通信機械工業は、前月比マイナス2.4%の低下で、4か月ぶりの低下だった。ノート型パソコンや一般用タービン発電機等が低下要因となっている。これらの品目では前月の上昇からの反動減があったものと考えられる。

出荷は2か月連続の低下

 2020年12月の鉱工業出荷は、季節調整済指数92.3、前月比マイナス1.6%と、2か月連続の低下となった。出荷に関しても、6月以降、10月まで5か月連続で上昇が続いていたが、11月に引き続き12月も低下となった。

 業種別にみると、全体15業種のうち、9業種が低下、5業種が上昇、1業種が横ばいとなった。
 低下寄与業種としては、寄与度の大きい順に、自動車工業、汎用・業務用機械工業、電気・情報通信機械工業などとなっている。生産と同様の業種が低下寄与業種の上位に来ており、それらの低下要因も生産とほぼ同様とみられる。
 財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比マイナス1.1%の低下、最終需要財の出荷は前月比マイナス1.8%の低下だった。
 最終需要財の出荷について内訳ごとにみると、まず消費財については、前月比マイナス2.5%と、2か月連続の低下となった。そのうち耐久消費財の出荷については、前月比マイナス5.9%と、2か月連続の低下となった。非耐久消費財の出荷は前月比マイナス0.4%と、3か月連続の低下となった。
 一方、設備投資に使われる財である資本財(輸送機械を除く)の出荷は、前月比マイナス6.7%の低下となり、4か月ぶりに低下した。
 また、建設財は、前月比マイナス0.7%と、2か月連続の低下となった。

在庫は9か月ぶりの上昇

 12月の鉱工業在庫は、季節調整済指数95.3、前月比1.1%と、9か月ぶりの上昇となった。在庫は上昇したものの、12月は11月に次いで今基準内で2番目に低い水準となっている。
 業種別にみると、15業種のうち、6業種が上昇、9業種が低下となった。上昇寄与が大きかった業種としては、自動車工業、石油・石炭製品工業、電気・情報通信機械工業などが挙げられる。

 在庫循環図をみると、2020年第4四半期は意図せざる在庫減局面に入っており、2020年第2四半期以降、在庫が減少する中で、在庫調整がかなり進んだ様子がみられる。

基調判断は据え置き

 2020年12月の鉱工業生産は、前月比マイナス1.6%となった。生産は、新型コロナウイルス感染症の影響で、2月から5月まで低下が続いた後、6月以降は一転、10月まで勢いある上昇が続いていたところだが、11月に続き、12月も低下となった。
 この背景には、6月以降、鉱工業生産全体の上昇をけん引してきた自動車工業の生産の回復が11月以降、一服してきたことや、10月、11月と大きめの上昇が続いた汎用・業務用機械工業で12月は反動減もあったことなどがある。ただ、生産全体は、四半期ベースでみれば7-9月期に続き、10-12月期も上昇している。
 また、先行きに関しては、企業の生産計画では1月は上昇、2月は低下となっている。特に1月は、2020年11月、12月の低下分を大幅に上回る上昇を見込む計画となっており、生産は上下の振れはあるものの、ならしてみれば回復傾向は続いているものと考えられる。
 こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の12月の基調判断については、「生産は持ち直している」を据え置く。他方で、感染症に対しては、日本でも本年1月には緊急事態宣言が再び発出されたところであり、内外での感染拡大による経済の下振れリスクの高まりにも十分注意する必要がある。1月以降の生産の動向についても十分注視していきたい。

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