統計解説

2020年11月のサービス産業 6か月ぶりに低下

緊急事態宣言再び発出でさらに下振れ懸念


 2020年11月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値98.2、前月比マイナス0.7%と6か月ぶりの低下となった。
 サービス産業活動は、昨年、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、昨春には緊急事態宣言が発出されたこともあり、昨年5月まで大幅な低下が続いていた。その後、緊急事態宣言の解除などもあり、6月以降、5か月連続で上昇が続いたが、11月は低下となった。
 活動水準に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響が現れる前の昨年1月(指数値101.9)以前と比べると、いまだ低い水準だが、昨年5月までの大幅低下からは4分の3以上回復し、3月(指数値97.3)を上回る水準となっている。

「金融、保険業」などは上昇も

 2020年11月の業種別の動きをみると、11業種中、6業種が前月比低下、5業種が前月比上昇という結果となった。
 11月は、「金融業, 保険業」、事業者向け関連サービス、生活娯楽関連サービス等は上昇したものの、「医療, 福祉」、卸売業、小売業などが低下したことにより、サービス産業全体としては低下することとなった。

 「医療, 福祉」に関しては、11月は前月比マイナス4.5%と、3か月ぶりの低下となった。前月まで大きめの上昇が続いたところからの反動減や、新型コロナウイルス感染症の予防策の徹底などによる医療機関の受診患者数の減少が低下要因として考えられる。
 卸売業に関しては、11月は前月比マイナス2.4%と、3か月ぶりの低下となった。内訳業種をみると、その他卸売業(機械器具を除く住関連卸売業)、飲食料品卸売業、「建築材料, 鉱物・金属材料等卸売業」などが低下している。前月まで大きめの上昇が続いたところからの反動減や、11月は鉱工業出荷や輸入も低下したこと、「飲食店, 飲食サービス業」の活動も低下したことなどが低下要因として考えられる。
 小売業は、前月比マイナス0.9%と、4か月ぶりの低下となった。内訳業種ではその他の小売業(別掲を除く住関連)などが寄与している。前月までの連続上昇からの反動減や、感染症の感染予防策の徹底などにより医薬品などへの需要も減少したことなどが要因として考えられる。

「対個人サービス」に減速感

 サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができる。
 11月の対個人サービス活動指数は、指数値97.1、前月比マイナス0.9%と4か月ぶりの低下だった。対事業所サービス活動指数は、指数値99.0、前月比0.1%と6か月連続の上昇だった。
 対個人サービスについては、社会経済活動の制限緩和や各種の需要喚起策の効果もあり、このところ上昇傾向が続いていたが、11月は低下となり、これまでの回復の勢いにやや減速感も感じられる。

「製造業依存型事業所向け」は2か月ぶりの上昇

 対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算している。
 11月は、製造業依存型事業所向けサービスは前月比0.1%と2か月ぶりの上昇だった。非製造業依存型事業所向けサービスは前月比横ばいだった。

「非選択的個人向け」は6か月ぶりの低下

 対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算している。
 それぞれの動向についてみてみると、11月は非選択的個人向けサービスは前月比マイナス1.0%と6か月ぶりの低下だった。し好的個人向けサービスは前月比0.1%と4か月連続の上昇だった。

基調判断を下方修正

 2020年11月のサービス産業活動指数は、前月比マイナス0.7%と、6か月ぶりの前月比低下となった。ただ、単月では低下したものの、ならしてみれば上昇傾向は続いており、活動水準も、昨年5月までの活動水準や第3四半期の活動水準と比べれば、11月は依然かなり回復している状況だ。
 主な低下寄与業種をみても、前月まで連続上昇が続いていた業種であり、これらの業種が低下基調に転じたとまでは、11月の時点では言いにくいところである。また、感染症の新規感染者数は11月以降増加傾向が強まったものの、その影響が懸念された宿泊業、旅行業、旅客運送業といった業種では、回復は続いている。
 ただ他方、11月は、社会経済活動の制限緩和や各種の需要喚起策が講じられていたにもかかわらず、広義対個人サービス活動は低下となり、その上昇の勢いには減速感も感じられる。
 こうした状況を踏まえ、サービス産業(第3次産業)活動指数の2020年11月の基調判断については、前月の「持ち直している」から「持ち直しているものの、一部に足踏みがみられる」へと下方修正した。
 なお、先行きについては、12月以降、感染症がさらに急拡大し、各種のGo To事業などの利用自粛要請・停止や、帰省の自粛要請、大人数・長時間の会食を控えるなどの感染防止策の徹底の要請もなされ、さらに本年1月には緊急事態宣言が再び発出されたことから、サービス産業活動には下振れが生じる可能性は否めない。このため、サービス産業活動の先行きについては、引き続き注視していきたい。

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参考図表集

『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)