統計解説

2020年11月の鉱工業出荷 6か月ぶりに前月比マイナスに

国内向けの不振が響く


 2020年11月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で94.0、前月比マイナス0.9%と6か月ぶりの低下となった。出荷は5月に今基準内の最低水準だった指数値76.8を底に、6月以降上昇を続け、10月までに94.9と2月の98.9以来の水準まで回復したが、11月はそこから低下となった。内需(国内向け出荷)は前月比マイナス1.2%の低下だったが、外需(輸出向け出荷)は前月比2.4%の上昇となり、11月は内需の低下が出荷全体をマイナスにした。
 出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、マイナスとなったものの11月の指数値は93.4で、3月の94.4を若干下回る程度の水準となっている。
 輸出向け出荷指数は、11月の指数値は97.0となった。3月から5月まで3か月連続で大幅に低下したが、その後、6月から11月まで6か月連続で上昇し、2月の指数値104.0以来の水準となっている。感染症の影響により、5月まで輸出向け出荷は国内向けより大幅に落ち込んだものの、その後回復を続け、11月は国内向け出荷を上回る水準となった。

船舶、乗用車など低下

 11月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種が前月比低下となった。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業だった。なかでも船舶・同機関、乗用車などが低下した。
 それに次ぐ低下寄与をみせたのは石油・石炭製品工業だった。なかでも石油製品、石炭製品が低下した。

 11月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、8業種が前月比上昇となった。特に上昇寄与が大きかったのは生産用機械工業だった。なかでも建設・鉱山機械、その他の生産用機械などが上昇した。
 次いで上昇寄与が大きかったのは、輸送機械工業だった。なかでも船舶・同機関、トラックなどが上昇した。

需要先用途別の動向は

 11月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみる。
 まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷は前月比0.1%と6か月連続の上昇だった。輸出向け出荷は前月比マイナス0.6%と5か月ぶりの低下だった。
 設備投資向けとなる資本財(輸送機械を除く)については、国内向け出荷は前月比3.0%と3か月連続の上昇となった。輸出向け出荷は、前月比5.6%と3か月連続の上昇となった。国内向け出荷ではボイラ・原動機などが、輸出向け出荷では建設・鉱山機械などが、それぞれ11月の上昇に寄与した。
 建設財については、国内向け出荷は前月比マイナス2.9%と2か月ぶりの低下だった。輸出向け出荷は前月比マイナス4.9%と2か月ぶりの低下となった。

 消費向けの財では、まず耐久消費財の国内向け出荷は前月比マイナス6.1%、6か月ぶりの低下となった。輸出向け出荷は前月比マイナス3.9%、6か月ぶりの低下となった。輸出向け出荷は5月に28.8まで低落した指数値が、10月は86.4と2月の86.7以来の水準まで回復したものの、そこから低下となった。ともに10月までの大幅回復をけん引した乗用車が、11月は低下に大きく寄与した。
 非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比マイナス1.7%と2か月連続の低下、輸出向け出荷は前月比0.6%と2か月ぶりの上昇となった。
 国内向け出荷では、資本財や耐久消費財をはじめ、全ての財が低下となった。他方、輸出向け出荷では、耐久消費財などは低下したものの、資本財などが上昇したことで、輸出向け出荷全体では上昇となった。

中国向けは2か月連続低下も欧州向けは上昇

11月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、米国向け、ASEAN向けなどは低下したものの、欧州向けなどが上昇となった。

 11月は特に、5月には感染症の拡大以前の水準まで回復していた中国向けが2か月連続で低下し、9月、10月と急回復した米国向けも一服感が見られるものの、10月に微減だった欧州向けが大幅に上昇し、コロナ感染症拡大以前の水準を上回っている。
 ただし、各国で感染症の感染再拡大が続いており、12月以降の出荷への影響にも注意が必要だ。

輸入品、総供給の動向は

 一方、輸入の動向をみると、11月は、季節調整済指数で94.4、前月比マイナス0.2%と5か月ぶりの低下となった。
 業種別の動向をみると、13業種中、6業種が前月比低下、7業種が上昇となり、特に鉱業が低下に大きく寄与した。
 国産は前月比マイナス1.1%と6か月ぶりの低下となり、鉱工業総供給は、前月比マイナス1.4%と6か月ぶりの低下となった。

 11月の出荷は、回復が遅れていた設備投資向けの財について回復傾向がみられ、資本財が上昇をけん引した輸出向け出荷では6か月連続の上昇となったものの、国内向け出荷は6か月ぶりに低下へ転じることとなった。
 一方、12月初旬の製造工業生産予測調査の結果では、企業の生産計画は2020年12月は低下の一方、2021年1月は大幅な上昇が見込まれていることから、出荷についても、12月は低下したとしても年明けは再び上昇が期待されるところである。
 ただ、足下の状況では、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大は国内外で続いており、その影響が内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要がある。日本でも感染の急拡大により、1月7日には首都圏(一都三県)を対象に再び緊急事態宣言が発出されており、出荷にも影響が出る可能性がある。今後、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、注視していきたい。

【関連情報】

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参考図表集

鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました