統計解説

製造工業の生産計画 1月は大幅上昇も経済に下振れリスク

新型コロナの感染拡大で先行き不透明感


 2020年12月上旬に実施した12月、2021年1月の企業の生産計画を調査した、生産予測調査の結果である。
 12月の生産計画については、調査結果そのままを集計すると、前月比マイナス1.1%の低下を見込むという結果になっている。元々11月調査の時点でも、12月は生産低下が見込まれていたが、12月調査では、予測修正率は0.7%と上方修正されており、前月比では低下とはいえ、前月の調査結果より高い生産水準にとどまる強気の計画となっている。
 ただ、この企業の生産計画には上方バイアスが含まれている。この12月計画値に含まれるバイアスを過去の傾向に基づき補正して、12月の鉱工業生産の実績を推計試算してみると、最頻値では前月比マイナス2.3%程度の低下、90%の確率で収まる範囲は前月比マイナス4.0%~マイナス0.6%の間、という計算結果となっている。
 一方、2021年1月の生産計画は、補正前の12月計画値から前月比7.1%と、大幅に上昇する計画となっている。実際の1月の生産がどうなるかについては不確実性もあるが、生産計画に含まれる上方バイアスを考えても、1月は上昇の可能性の方が高いと考えられる。
 このように企業の生産計画からは、鉱工業生産は、12月は一旦低下するとしても、2021年1月は再び上昇することになりそうだ。ただ、最近の感染症拡大による社会経済活動への影響が内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要がある。

12月計画では7業種で低下、4業種で上昇

 12月の生産計画では、全体11業種のうち、7業種が前月比で低下、4業種で上昇の計画となっている。低下寄与度の高い順に、輸送機械工業、汎用・業務用機械工業、電気・情報通信機械工業などとなっている。
 他方、上昇寄与業種は化学工業、鉄鋼・非鉄金属工業、石油製品工業などとなっている。

1月計画はすべての業種で上昇見込む

 2021年1月の生産計画では、全体11業種のうち11業種すべてが前月比で上昇となっている。上昇寄与が大きかった業種は、生産用機械工業、汎用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業などである。

計画を通してみると

 12月、2021年1月の2か月の生産計画による業種ごとの生産予測の伸び率を通してみると、以下の図のようになる。
 10月まで生産の上昇をけん引してきた輸送機械工業については、2021年1月までみても生産はさほど上昇しないものの、代わって電子部品・デバイス工業、生産用機械工業、化学工業など、多くの業種で上昇することにより、生産の上昇をけん引する形となっている。

 なお、仮に企業の生産計画通りの前月比で生産が行われると、12月の鉱工業生産の指数値は94.2、2021年1月の指数値は100.9となる。
 一方、12月計画に含まれるバイアスを過去の傾向に基づき補正すると、最頻値で前月比マイナス2.3%低下となり、その場合の指数値は93.0となる。
 仮に企業の生産計画通りに生産されると、2021年1月の指数値100.9は、感染症の拡大以前の生産水準(本年1月で99.8)を超えることとなるが、企業の生産計画には上方バイアスが含まれることを考えると、2021年1月までにそこまでの水準には到達するかは不透明感も大きいと考えられる。また、最近の感染症拡大による内外経済の下振れリスクにも十分注意する必要がある。

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参考図表集

マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」