統計解説

2020年11月の鉱工業生産 連続上昇に一服感

「牽引役」自動車工業の低下に伴い


 2020年11月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.2、前月比は横ばいとなった。11月当初の企業の生産計画に含まれる上方バイアスを補正した試算値では、前月比0.4%の上昇(90%レンジではマイナス1.3%~2.1%の間)となっていたが、実際の11月の生産も試算値に近い水準となった。
 生産は、新型コロナウイルス感染症の影響により、2月から5月まで低下が続き、指数水準も大幅に低下していたところから、6月以降は一転、上昇が続いていたが、11月は前月比横ばいとなり、5か月続いていた上昇も一服することとなった。生産水準は、感染症拡大前の1月(指数値99.8)と比べてもいまだ低く、今後も回復を期待したい。

生産用機械工業などは上昇も

 11月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、9業種が前月比上昇、5業種が前月比低下、1業種が横ばいという結果だった。
 11月は、自動車工業、無機・有機化学工業、プラスチック製品工業などは低下に寄与したものの、生産用機械工業、汎用・業務用機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業などが上昇に寄与した。

 主な上昇寄与業種についてみてみると、まず、上昇寄与の最も大きかった生産用機械工業は、前月比6.5%の上昇で、3か月連続の上昇だった。半導体製造装置、個装・内装機械、金型などが上昇要因となっている。
 上昇寄与2位の汎用・業務用機械工業は、前月比4.8%の上昇で、2か月連続の上昇だった。一般用蒸気タービンや水管ボイラ、汎用内燃機関などが上昇要因となっている。汎用・業務用機械工業については、11月の指数値は100.1と、感染症拡大前の指数値(1月:100.1)に並ぶ水準まで回復した。
 上昇寄与3位の鉄鋼・非鉄金属工業は、前月比3.7%の上昇で、5か月連続の大幅な上昇だった。普通鋼鋼帯や粗鋼などが上昇要因となっている。
 主な低下寄与業種についてもみると、まず、低下寄与の最も大きかった自動車工業は、前月比マイナス4.7%の低下で、6か月ぶりの低下だった。普通乗用車、小型乗用車などが低下要因となっている。
 低下寄与2位の無機・有機化学工業は、前月比マイナス1.7%の低下で、2か月ぶりの低下だった。フェノールやポリエチレンなどが低下要因となっている。
 低下寄与3位のプラスチック製品工業は、前月比マイナス1.2%の低下で、6か月ぶりの低下だった。プラスチック製機械器具部品やプラスチック製容器(中空成形)などが低下要因となっている。

出荷は6か月ぶりの低下

 11月の鉱工業出荷は、季節調整済指数94.0、前月比マイナス0.9%と、6か月ぶりの低下となった。出荷に関しても、6月以降、5か月連続で上昇が続いていたが、11月は連続上昇も一服した形となった。

 業種別にみると、全体15業種のうち、11業種が低下、4業種が上昇となった。
 低下寄与業種としては、寄与度の大きい順に、自動車工業、電気・情報通信機械工業、石油・石炭製品工業などとなっている。特に、6月以降、10月まで5か月連続で勢いのある上昇を続けてきた自動車工業で上昇傾向が一服し、11月は低下に転じたことが、出荷の低下の大きな要因となっている。
 財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比マイナス0.4%の低下、最終需要財の出荷は前月比マイナス1.8%の低下だった。
 最終需要財の出荷について内訳ごとにみると、まず消費財については、前月比マイナス3.2%と、6か月ぶりの低下となった。そのうち耐久消費財の出荷については、前月比マイナス6.3%と、6か月ぶりの低下となった。非耐久消費財の出荷は前月比マイナス1.8%と、2か月連続の低下となった。
 一方、設備投資に使われる財である資本財(輸送機械を除く)の出荷は、前月比2.6%の上昇となり、3か月連続で上昇した。
 また、建設財は、前月比マイナス3.4%と、2か月ぶりの低下となった。

 各財の出荷の動きを通してみると、本年6月以降、出荷の回復をけん引していた耐久消費財や生産財など、多くの財が11月は低下となったが、他方、8月まで低下傾向が続き回復が遅れていた、設備投資に使われる資本財(輸送機械を除く)は、9月以降、3か月連続での上昇となり、内外での設備投資の回復の兆しも感じさせる。今後とも回復していくのかが注目される。

在庫は8か月連続低下

 11月の鉱工業在庫は、季節調整済指数94.6、前月比マイナス1.1%と、8か月連続の低下となった。在庫は、今基準内で最低水準まで大幅に低下している。
 業種別にみると、15業種のうち、11業種が低下、4業種が上昇となった。低下寄与が大きかった業種としては、無機・有機化学工業、化学工業(無機・有機化学工業・医薬品を除く)、生産用機械工業などが挙げられる。

 在庫循環図をみると、まだ11月時点までの数値ではあるが、2020年第4四半期に入り、意図せざる在庫減局面まで在庫調整が進んでいる様子がみられる。

基調判断を据え置き

 2020年11月の鉱工業生産は、前月比横ばいとなった。生産は、新型コロナウイルス感染症の影響で、2月から5月まで低下が続いた後、6月以降は一転、上昇が続いていたところだが、11月はこの連続上昇も一服することとなった。
 この背景には、6月以降、勢いのある上昇が続き、鉱工業生産全体の上昇をけん引してきた自動車工業の生産が、11月は低下したことがある。ただ他方で、他の多くの業種は回復傾向が続いており、鉱工業生産全体でも、ならしてみれば回復傾向が続いていると考えられる。
 また、先行きに関しては、企業の生産計画では12月は低下、1月は上昇となっている。12月は一旦低下が見込まれるとはいえ、1月には再び大幅な上昇を見込む計画となっている。
 こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の11月の基調判断については、「生産は持ち直している」を据え置く。他方で、最近の感染症拡大による社会経済活動への影響が内外経済を下振れさせるリスクにも注意する必要があり、12月以降の生産の動向についても注視していきたい。

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