統計解説

5月のサービス産業 4か月連続マイナスも低下ペースは鈍化

緊急事態宣言解除が奏功


 本年5月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値87.9、前月比マイナス2.1%と4か月連続の低下となった。
 サービス産業活動は昨年10月に大幅に低下した後、11月以降、3か月連続で活動水準を戻してきたが、本年2月以降、低下が続いている。新型コロナウイルス感染症の影響が拡大したことにより、2月は前月比マイナス0.7%、3月は同マイナス3.9%、そして4月は同マイナス7.7%と、低下幅は拡大を続けていた。一方、5月はマイナス2.1%の低下となったものの、低下幅は縮小した。低下の速度は3月、4月と比べるとやや緩やかになってきている。
 5月は、感染症の感染拡大防止のために4月に発出された緊急事態宣言が、地域ごとに段階的に解除された。とはいえ首都圏を含む地域で緊急事態宣言が解除されたのは5月25日であり、社会経済活動のレベルも段階的に引き上げられ始めたとはいえ、5月を通してみれば、活動のレベルは抑制されていた。他方、感染症の世界的流行により、5月は内需のみならず外需(輸出)も大幅に低下し、鉱工業では自動車工業をはじめ大幅な生産調整が行われ、幅広い産業に影響が波及した。これらのことから、5月のサービス産業活動も低調なものとなったと考えられる。5月の指数値87.9は、今基準内でも群を抜いて低い最低の水準を再び更新した。

小売業や生活娯楽関連 上昇に転じる

 5月の業種別の動きをみると、7業種が前月比低下、4業種が前月比上昇という結果となった。小売業や生活娯楽関連サービスといった、4月まで低下寄与の大きかった業種で上昇に転ずる動きもみられたものの、その上昇寄与は小さく、低下寄与業種の低下幅が大きかったことで、サービス産業活動全体では引き続き低下となった。
 特に低下寄与が大きかった業種は、卸売業、情報通信業、「運輸業,郵便業」が挙げられる。

 卸売業に関しては、5月は前月比マイナス7.3%と、6か月連続の低下となり、低下幅も今基準内で3番目に大きい低下幅となった。指数値も今基準内の最低水準を3か月連続で更新した。内訳業種をみると、特に機械器具卸売業、医薬品・化粧品等卸売業、「建築材料,鉱物・金属材料等卸売業」が低下している。5月は感染症の影響により、鉱工業生産・出荷や輸入も大幅に低下しており、こうしたモノ取引の減少が、卸売業の大幅低下に影響したと考えられる。
 情報通信業は、前月比マイナス4.9%と、2か月連続の低下となった。内訳業種では特にソフトウェア業や情報処理・提供サービス業の低下寄与が大きくなっていた。4月まで好調だったゲームソフトが5月は反落したことに加え、ゲームソフトを除くソフトウェアや情報処理・提供サービス業では、業務用の売上が低下した。
 「運輸業,郵便業」は、前月比マイナス5.3%と、4か月連続の低下となり、指数値は、今基準内でも群を抜いて低い最低値を再び更新した。特に貨物運送業や運輸施設提供業が大きく低下した。5月は感染症の影響で、鉱工業生産・出荷や卸売業も大きく低下したことにみられるように、モノの取引が更に減少し、貨物運送にもその影響が大きく出たことや、人の移動も抑制されていたことで運輸施設提供業等も低下したことが、「運輸業,郵便業」の大幅低下の要因として考えられる。

「対事業所」なお低下幅大きく

 サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができる。
 5月の対個人サービス活動指数は、指数値83.4、前月比マイナス0.6%と4か月連続の低下だった。対事業所サービス活動指数は、指数値91.7、前月比マイナス3.9%と4か月連続の低下だった。本年2月以降、対個人サービス、対事業所サービスともに低下が続いているが、対個人サービスの低下幅は3月、4月と大きかったものの、5月の低下幅は縮小したのに対し、対事業所サービスの低下幅は、4月、5月と大きな低下が続いている。
 新型コロナウイルス感染症の影響は、対個人サービスについては3月、4月と特に大きく現れたものの、5月は縮小してきているのに対し、対事業所サービスについては、4月から5月にかけて影響が大きく現れたことがわかる。

「製造業依存型」「非製造業依存型」ともに低下

 対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算している。
 5月は、製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス9.0%と3か月連続の低下だった、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス2.4%と、4か月連続の低下となった。
 製造業依存型事業所向けサービスに関しては、鉱工業生産をみても4月、5月に前月比でマイナス9.8%、マイナス8.4%と急速な低下が続いていたことから、その影響もあり、4月、5月と大幅低下が続いたものと考えられる。他方、非製造業依存型事業所向けサービスも、幅広いサービス産業で活動が低下していることと相まって、低下が続いたものと考えられる。

「非選択的個人向け」3か月ぶりの上昇

 対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算している。
 それぞれの動向についてみてみると、5月は非選択的個人向けサービスは前月比0.1%と3か月ぶりの上昇だった。一方、し好的個人向けサービスは前月比マイナス1.2%と4か月連続の低下だった。
 5月は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための緊急事態宣言が段階的に解除されたとはいえ、感染拡大防止のための外出・移動の自粛要請や、休業・営業時間短縮要請は一部で続いたことから、し好的個人向けサービスは、3月、4月の大幅低下と比べると低下幅は縮小したとはいえ、引き続き低下となった。

基調判断を上方修正

 本年5月のサービス産業活動指数は、前月比マイナス2.1%と、4か月連続の前月比低下となった。サービス産業活動は、2月から感染症の影響が現れ始め、特に3月以降、活動水準の大幅な低下が続いている。ただ、5月も低下したとはいえ、3月、4月と比べると低下幅は縮小した。
 この背景には、まず、新型コロナウイルス感染症の影響により、これまで大幅低下となっていた個人向けサービス、特にし好的サービスに関して、緊急事態宣言の解除などの影響もあり、低下幅が3月、4月より縮小したことがある。一方、事業所向けサービスについても、5月は4月より低下幅は縮小している。ただ、対個人サービスと比べると、低下幅はいまだ大きめなものにとどまっている。
 このようにサービス産業活動では、5月も感染症の影響で活動水準も低下が続いた。ただ、その低下の速度は、3月、4月と比べるとやや緩やかになってきている。こうした状況を踏まえ、サービス産業(第3次産業)活動指数の5月の基調判断については、4月までの「急落している」から表現を変え、「引き続き低落している」と若干上方修正したい。
 6月に関しては、緊急事態宣言の全面解除も受け、社会経済活動のレベルは段階的に引き上げられているところであり、サービス産業活動のレベルについても下げ止まりを期待しつつ、先行きも引き続き注視していきたい。

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参考図表集

『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)