統計解説

「餃子の街」首位争いの宇都宮市と浜松市 製造業出荷額の軍配は?


 餃子の街といえば、宇都宮市と浜松市が有名だが、近年、両市の間でし烈な戦いが繰り広げられている。これは総務省から毎月公表されている家計調査の結果で毎年、両市がトップの奪い合いをしていることから、さらなる盛り上がりに拍車をかけているようだ。
 今回は経済産業省の統計を用いて、製造業出荷額でこの両市の違いについて比較してみたい。

「餃子」は宇都宮市が首位奪還

 本年2月に総務省から公表された家計調査によると、2019年の1世帯当たりの餃子購入額は、宇都宮市が前年差で大幅増の1,117円増の4,359円となり、前年首位の浜松市(同5円増の3,506円)をおさえて2年ぶりに政令指定都市、都道府県庁所在地の52地域で第1位に帰り咲いた。

 宇都宮市は2010年に大幅増の6,134円で最高値となったが、それ以外の年ではおおむね3千円から5千円の間で増減している。一方の浜松市は3,500~5,000円の間で比較的安定して推移しており、足元では2016年の4,818円をピークに2017年に大きく減少して、ここ3年間ではほぼ横ばいという結果となった。2018年の宇都宮市の落ち込みが前年首位逆転の要因になっていたようだ。

産業構造に大きな違い

 餃子の街でし烈な争いを続けている宇都宮市と浜松市だが、二つの市の産業はどのように違うのだろうか。商業は人口規模に影響されるところもあることから、製造業を比較してみる。製造業出荷額の状況を最新データである2017年の工業統計調査(地域別統計表)から比べてみよう。
 2017年の製造業出荷額では宇都宮市(2兆1,868億円)、浜松市(1兆9,501億円)でともに2兆円前後と、とても近い水準にある。
 宇都宮市で主力の製造業は飲料・たばこ・飼料製造業(7,793億円:全体の35.6%)が圧倒的で、次いで化学工業(2,320億円:同10.6%)である。一方の浜松市では、輸送用機械器具製造業(8,041億円:同41.2%)が圧倒的で、次は生産用機械器具製造業(1,813億円:同9.3%)だ。この二つの市では主力産業の構成が大きく違っていることがわかる。

約10年前の製造業出荷額構成比を比べてみると

 続いて工業統計調査のデータで、現在の日本標準産業分類で比較が可能な2008年の製造業出荷額を2017年実績と比べてみよう。宇都宮市では2017年は製造業出荷額全体が4,919億円増、29.0%増と大幅に増加していた。業務用機械器具製造業は減少しているものの、特に主力産業である飲料・たばこ・飼料製造業が倍増し、化学工業、生産用機械器具製造業も大幅増となり、ともに市内の出荷額シェア順位を第5位→第2位、第4位→第3位と上げていた。

 一方の浜松市では、逆に製造業出荷額計が2017年はマイナス9,193億円、マイナス32.0%減と大幅に減少していた。主力産業である輸送用機械器具製造業の減少幅が大きく、第2位の生産用機械器具製造業は増えているものの、それ以外は減少しており、第5位だった電子部品・デバイス・電子回路製造業も第3位と順位を上げているものの、主力産業を中心に全体的に製造業出荷が縮小しているようである。
 餃子の消費ではこの10年も、し烈な争いを繰り広げていた両市ですが、製造業の出荷額に関しては、主力産業の違いもあるだろうが、当初あった差が縮小してきたようである。

 このように工業統計調査の地域別統計表では、全国の各都道府県別、各市区町村別の製造業出荷額(年計額)をみることができる。最新となる2018年実績は本年2月に速報(全国値)が公表されたが、今回使用した地域別統計表を含む詳細データである確報はこの秋口に公表される予定である。ぜひ、出身地やお住いの自治体の結果や推移などもご覧いただきたい。
 最後に家計調査の結果だが、2019年の餃子購入額で浜松市に次ぐ第3位は、2,790円で京都市になっている。全国値(平均額)が2,065円であることから、宇都宮市(4,359円)と浜松市(3,506円)の二つの市の水準がいかに突出して高いということがこの結果からもうかがえる。2020年はこれまで新型コロナウイルス感染症の影響で全国的に外食が控えられ、持ち帰り総菜などの購入額の増加が予想されることから、年明け2月に公表となる2020年の結果も目が離せない。ちなみに2019年の最下位は1,492円の青森市だった。