統計解説

鉱工業生産 2月までは上昇も3月以降は大幅低下の見込み

新型コロナの影響で先行き厳しく


 本年2月の鉱工業生産は、季節調整済指数100.2、前月比0.4%と、3か月連続の前月比上昇となった。2月は上昇したものの、先月時点での企業の生産計画の上方バイアスを補正した試算値(最頻値で前月比2.0%)を下回る上昇幅となった。
 生産は、昨年10月、11月と2か月連続で大きく低下したが、そこから3か月連続での上昇となった。ただこの上昇は、昨年11月までの大幅な低下からの戻りの要素が大きく、生産水準はいまだ低い状況にある。2月の指数値100.2は、昨年10月に生産が大きく低下する前との比較では、2016年7月を上回る程度の水準であり、また、昨年第3四半期の指数値102.5と比べると、昨年11月までの低下からの戻りは、いまだ半分程度にとどまる。

2月は7業種が前月比上昇

 2月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、7業種が前月比上昇、7業種が前月比低下、1業種が横ばいという結果だった。
 2月は、電子部品・デバイス工業の上昇寄与が特に大きかった。次いで、無機・有機化学工業、鉄鋼・非鉄金属工業などが上昇寄与業種として続いた。

 上昇寄与の最も大きかった電子部品・デバイス工業は、前月比10.7%の上昇で、2か月ぶりの大幅な上昇となった。電子部品・デバイス工業は、昨年4月を底に上昇傾向が続いており、2月の生産の上昇をけん引した。モス型半導体集積回路(メモリ)、固定コンデンサなど上昇要因となっている。
 上昇寄与2位の無機・有機化学工業は、前月比6.0%の上昇で、6か月ぶりの大幅な上昇だった。エチレン、ポリエチレンなど上昇要因となっている。設備トラブルの復旧による戻りもあったようだ。
 上昇寄与3位の鉄鋼・非鉄金属工業は、前月比3.2%の上昇で、2か月連続の上昇だった。特殊鋼熱間圧延鋼材、粗鋼などが上昇要因となっている。

出荷は前月比2.6%と大きめの上昇

 2月の鉱工業出荷は、季節調整済指数値99.8、前月比2.6%の上昇となった。昨年11月以来、生産の前月比と比べて出荷の前月比の方が小さく、出荷に弱さが感じられる状況が続いていたが、2月は、生産の上昇が小幅にとどまったのに対し、出荷は大きく上昇することになった。

 業種別にみると、全体15業種のうち、14業種が前月比上昇、1業種が前月比低下と、ほとんどの業種で出荷が上昇した。
 上昇寄与業種としては、寄与度の大きい順に、電子部品・デバイス工業、鉄鋼・非鉄金属工業、石油・石炭製品工業などとなった。
 財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比2.7%の上昇、最終需要財の出荷は前月比2.3%の上昇だった。
 最終需要財の出荷について内訳ごとにみると、まず消費財については、出荷は前月比1.1%、2か月連続の上昇となった。非耐久消費財の出荷は前月比マイナス0.5%と、2か月ぶりの低下となったものの、耐久消費財の出荷は前月比1.5%と、2か月連続の上昇となった。
 一方、設備投資に使われる財である資本財(輸送機械を除く)の出荷は、前月比0.7%と、2か月ぶりの上昇となった。
 また、建設財は、前月比3.8%の上昇となり、2か月ぶりの上昇となった。

在庫は再び低下

 2月の鉱工業在庫は、季節調整済指数値103.8、前月比マイナス2.0%と、3か月ぶりの低下となった。業種別にみると、15業種中、9業種が低下、6業種が上昇だった。低下寄与が大きかった業種としては、自動車工業、石油・石炭製品工業、電気・情報通信機械工業などが挙げられる。
 在庫については、本年1月に今基準内の最高水準を更新したが、2月は再び低下した。

基調判断は据え置き

 本年2月の鉱工業生産は、3か月連続の前月比上昇となった。生産は10月、11月と大幅に低下した後、12月以降、2月までの時点では上昇を続けている。ただ、この上昇は11月までの大幅低下からの戻りの要素が大きく、その戻りも大きくない。また、2月は上昇したとはいえ、2月当初の生産計画と比べ下振れが大きく、出荷の上昇の勢いと比べても、生産の上昇幅は小幅にとどまった。新型コロナウイルス感染症により、一部の品目で部品供給に影響が表れたことも、生産の上昇幅を縮小させたと考えられる。
 一方、先行きに関しては、企業の生産計画では3月は大幅な低下、4月はそれを上回る大幅な上昇となっている。ただこの計画は、3月上旬に実施した調査結果の集計であるため、新型コロナウイルス感染症をめぐる最近の情勢変化の影響は十分織り込まれておらず、3月の大幅低下の後、4月に生産が戻るかは不確実性が大きいものと考える。
 このように生産は、2月までの時点では上昇が続いたとはいえ、勢いある上昇ではなく、また3月は低下が見込まれる。こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の2月の基調判断としては、「生産は一進一退ながら弱含み」に据え置くものの、先行きは当面、厳しい状況が見込まれ、今後も十分注意してみていきたい。

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