統計解説

前年までの好調が一転 2019年鉱工業生産の大幅低下のワケ

外需、内需 ともに振るわず

 
 鉱工業生産・出荷は、2017年、2018年と上昇を続けたものの、2019年は大きく低下した。
 今回のミニ経済分析(近年の鉱工業の動向)は、近年の鉱工業の動向を、業種別、財別の動向も含め、グラフにまとめたので、内容を紹介する。

2年連続で上昇したが

 鉱工業生産は2017年、2018年と、2年連続で上昇を続けた。その背景には、特に輸出向け出荷(外需)が好調であったことに加え、国内向け出荷(内需)も堅調に推移したことが挙げられる。
 しかし2018年後半以降、世界経済の減速なども背景に、鉱工業の輸出向け出荷は一転、低下傾向が続いた。さらに2019年第4四半期には、輸出向け出荷が一段と低下したのみならず、国内向け出荷も大幅に低下したことで、2019年の鉱工業生産は大幅な低下となった。
 輸出向け出荷の低下は、サプライチェーンを通じた波及効果により、国内向け生産・出荷にもマイナスの影響があるため(参考)、昨年は10月に消費税率引上げや大型台風による被災などもあったが、2019年通年での鉱工業生産の低下には、輸出が年間通じて低下が続いた影響が大きかったと考えられる。
 生産は低下したものの、在庫はいまだ高い水準にあり、在庫の動向は引き続き注意が必要だろう。

財別でみてみると

 財別の出荷動向もみてみると、2018年まで鉱工業生産・出荷の上昇をけん引した、原材料となる生産財や設備投資に用いられる資本財が、2019年は一転、低下に寄与したことがわかる。

 生産財・資本財の出荷は輸出向けが2018年後半から低下傾向が続いており、アジア向け輸出の低下や、世界経済の減速・不透明感を背景とした設備投資需要低下の影響が感じられる。

 消費財については、昨年第1四半期まで目立った動きはなかったが、耐久消費財の出荷は第3四半期以降、2期連続で低下し、非耐久消費財の出荷も第4四半期に大きく低下した。
 昨年は10月に消費税率引上げや台風19号の被災もあったが、耐久・非耐久を合わせた消費財全体の国内向け出荷は第3四半期から低下していたことをみても、消費税率引上げ前の駆け込み需要の鉱工業生産への影響は大きくなかったと考えられる。

業種別の動向は

 生産動向を業種別にみてみると、2019年に鉱工業生産が大きく低下した背景には、2017年、2018年と上昇に寄与した輸送機械工業や生産用機械工業、汎用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業等などが、2019年に入り低下したことが挙げられる。
 2019年は第1四半期にほとんどの業種で生産が低下した後、第2四半期は上昇したものの、第3四半期以降、生産は再び低下に転じ、第4四半期はほとんどの業種で低下した。
 特に輸送機械工業は、第2四半期は大幅に上昇したものの、第3四半期以降、2期連続で大きく低下した。
 一方、電子部品・デバイス工業は対照的な動きをしており、第2四半期まで低下が続いたものの、第3四半期以降、持ち直しの動きがみられる。ただ特に第4四半期は、他産業の低下寄与が大きく、鉱工業生産全体を上昇にけん引するまでには至らなかった。

 輸送機械工業の動向をさらにみてみると、2019年は輸出向け出荷が弱かったことに加え、国内向け出荷も、第2四半期は大きく上昇したものの、第3四半期以降は一転、大幅に低下したことがわかる。

 電子部品・デバイス工業の動向もさらにみてみると、2019年前半は、生産は2期連続で大きく低下した。一方、この生産低下により在庫の調整も進み、2019年後半に入り、生産も持ち直しの動きがみられる。

 ミニ経済分析では、個別業種の動向も含め、2019年の鉱工業の動向をさまざまな形で整理し、紹介している。ぜひ参照・活用いただきたい。
 2020年は鉱工業生産の上昇を期待したいところだが、在庫がいまだ高水準にあることに加え、今後の世界経済の動向や、新型コロナウイルス感染症の影響などにも注意が必要だ。今後の先行きも注意深くみていきたい。

【関連情報】
《参考》
米国向け、中国向け、どちらの輸出が国内生産への影響が大きいのか!?(2020/2/5掲載)

中国向け出荷の減少は、日本国内の生産活動にどれほどの影響をもたらしたか?;2015年産業連関表を用いて試算してみました(2019/9/5掲載)

中国向け出荷減少による国内?産活動への波及効果;2015年産業連関表による試算(2019/9/5掲載)